IVUSA TIMES

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第42回 【特集】熊本地震救援活動 三宅佑弥さん

今回のIVUSATIMESは、4月に発生した熊本地震の際に実施した、災害救援活動に参加した学生へのインタビューになります。被災地体験したこと・感じた事に迫っていきます。ぜひご一読ください。

 

 

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―それでは、自己紹介からお願いします。

 はい、京都衣笠クラブ立命館大学法学部4年生の三宅佑弥です。IVUSAでは総合企画室の副室長を務めています。

 

 

 


―まず初めに、三宅さんの所属する、総合企画室という役職について教えてください。

IVUSAという組織に対する俯瞰的な提案であったり、他部署(会員本部や事業戦略本部など)との部署調整などであったりを行っています。主には会議体(幹部会や経営戦略会議など)というところで、議事設定だとかスケジュール調整をしているのが日常業務ですね。

 

―ありがとうございます。では、今回は先日の熊本地震の災害救援活動についてお話を伺いたいと思います。活動内容を教えてください。

 はい、今回は2016年4月19日から26日に派遣された1次隊から、ゴールデンウィークに派遣された4次隊まで、震災発生直後から4回活動しました。1次隊、2次隊の活動は、避難所の運営支援ということで、私たちが避難所の運営に携わって、避難所環境の整備や、避難者の方へのケアを行いました。

3次隊4次隊の活動は、現地の方からのボランティアのニーズを聞き取って、民家等の復旧活動のお手伝いをさせていただいたり、お宅ごとの要望にこたえていくような形で活動しました。1次隊2次隊は約30名にて、3次隊は古閑地区というところの復旧活動支援を約30名で活動していました。そこへ4次隊の関東関西長崎の学生100名が加わり活動しました。



―三宅さんはどの隊に参加しましたか?

 1次隊は参加していませんでしたが、1次隊の間にそれ以降の派遣の準備を整えていました。それからの2次隊から4次隊に参加しました。

 


―三宅さんは現地ではどんな役職で、何をしましたか?

 1次隊が行われている間は派遣の準備ということで、今後の活動では何ができるのかを検討していました。2次隊に関しては、1次隊の活動を引継ぎ、避難所の中の環境整備をしました。避難所にはお子さんからお年寄りまで様々な人が、様々な地域から、様々な事情を抱えて集まっています。震災直後の避難所生活ということで、どうしても皆さん自分たちのことで精一杯になってしまいます。長期間、土足で寝床の真横を普通に通り過ぎたり飲食もそこで摂ったりするということだったので、生活用の通路を区画整備してみたり、一概のルールの設置を提案してみたりしましたが、そういったことをずっと僕たちが続けていくことはできないので、避難所へ引継ぎをするためにどうしていけばいいかも話し合いました。そういうことがメインの2次隊でした。

 

 

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 活動中の三宅さん

 



―突然の震災ですもんね。よくテレビで見る避難所のリアルな姿が伝わってきます。

僕たちのような学生ボランティアとして、何か避難所運営に工夫を加えられないかということで、外部のNPO団体の方と協力しながらフランクフルトなどの出店を開く取り組みもしました。また今回は子どもがたくさんいる避難所のお手伝いだったので、子どもを預けられるようなスペースを作って、一時的に預かったり勉強支援をしていました。

次に3次隊の活動は、主には住宅などの復旧活動なのですが、100人規模であった4次隊の準備をしました。古閑地区の住民の方と協議をしながらどういったお宅にどれくらい人数を入れるか、100人が到着するまでにできることをする活動でした。そして4次隊が到着してから、僕は作業を割り振った状態でみんながいかに作業をスムーズに行えるのかを考える本部運営に所属し、3次隊・4次隊で当日作戦長として現場を仕切っていました。

 


―災害救援活動でもしっかり下地を現地の方と調整して活動していたようですね。では、実際に現場に入ってどんなことを感じましたか?

3次隊4次隊は古閑地区での活動でしたが、地区の方々がパワフルで、自分たちで復旧して行こうという方々ばかりの、言わば超例外的地域でした(笑)。それに加えて僕たちIVUSAの100人以上のマンパワーでやる調整ができたのも、古閑地区の区長さんや地域の方が協力的で、ほかの外部の団体と違いIVUSAのことを認めてくださったお陰でした。ほとんどのご家庭が半壊認定や全壊認定というような、もう住めないような地域なのですが、僕たちが活動に入ることを好意的に受け入れてくださったのが非常に良かったと思います。

でも、ここで感じたのも、たまたま古閑地区だったのでスムーズに僕たちのしたいこと、相手に求められていることをできたのだと考えました。ほかの地域はどうだろう。たまたま古閑地区は物資もほとんど届いていたし、フットワークも軽いご高齢の方がたくさんおられた中での復旧活動でしたが、物資もない地域だとか、半壊全壊のため復旧活動はもうしませんというような地域に対して僕たちができたことはあるのだろうか、と思ったのが僕は印象的でした。

 

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活動中の4次隊の学生

 

 


―なぜ古閑地区ではほかの団体は受け入れられていないのに対してIVUSAは受け入れてもらえたのだと考えますか?

 基本的にメディアを断っていたというのが正しいかな。自分たちが被災者になったとき公衆の面前にさらされるのって嫌ですよね。よくある団体は一軒一軒のお宅に入らせていただくときの配慮が足りないなどが問題とされています。それに対して僕たち学生は事前から準備を整えて、どういうことが自分たちにできるのか細かくヒアリングやニーズ調査をしたうえで気遣いながら活動しています。そういったところで信頼関係を築くことにつながり、その信頼関係を築くためにはどういったことも必要なのかということを最前に考えてやっていたので、100人が来た時もやっぱり喜んでくださいました。一番よかったのが、苦情がなかったことだと思います。現場対応をする現場長の働きもよかった結果だと思います。そこが僕はうれしかったと思います。最初に信頼関係を築きに行って、それを信頼してくれたのがIVUSAを受け入れてもらえた理由かなと感じています。

 


―このように、IVUSAの災害派遣の強みはどういったところにあると思いますか?

 まず、学生団体で災害救援を初動から動けるっていう団体はそうそういないと思っています。まずは、災害発生後スピーディーに動けるのが強みだと思います。さらに、ほかの団体と違って地区ごと引き受けることが出来るところも挙げられます。災害地域にはライフラインがないのは間違いなくて、一番迷惑がかかるのは自分たちが現地に行って向こうの支援物資などを使ってしまうところや住居を占拠してしまうことなどにあると思います。それに対して僕たちは装備も全部持っていくし、食事や住居も自分たちで確保できるので、現地にほとんど迷惑をかけずに災害救援をできるのは強みだと思います。実はそういったところに惹かれて僕はIVUSAを続けているということもあります。

 

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若さと熱さで被災地にパワーを与えます。

 

 


―なるほど。三宅さん自身、今までIVUSAを続けているきっかけとなった活動はありますか?

 1年生の夏休みに起こった地元福知山(京都府)での災害救援活動です。1年生の夏休みに活動に参加してからは、退会しようと考えていました。9年間ほどボーイスカウトをやってきましたが、そこでしてきた活動と同じような活動をしてみても、面白味を感じなかったからです。そんなときに発生した福知山での活動に僕は現地合流しました。1年生でしたが自分が持ちうる精一杯の力で災害救援活動が出来ました。その時にこの団体の凄さに気づかされました。ほかのプロジェクトやクラブ運営では感じることのできなかったことが災害救援活動では感じることが出来ました。

僕が継続している理由には災害救援が占める部分が大きいです。いろんな人に話を聞いたり調べたりしたので、IVUSAの災害派遣のフローなどについては、会員数3000人の中で僕が一番知識を持っている自信があります。今回熊本にすぐ行けたっていうのは、スキルとかノウハウとか、IVUSAがこれまでに災害救援を行ってきたことがまだ残っているのだなって実感したし、ぜひ後輩らにも引き継いで欲しいなって思っています。

 


―熊本の話をメインで伺ってきましたが、三宅さんにとってIVUSAとはどんな存在ですか?

なんやろうなぁ、「暇つぶしの極み」みたいな感じかな。

 


―「暇つぶしの極み」ですか。なるほど新しいですね。

 IVUSAは日常的には経験できないことに触れることが出来る機会が間違いなくあると思います。合う・合わないはそれぞれだとは思いますが、それでもなおこういった非日常的な部分に挑戦している自分にとっては暇つぶしって言えるのかな。怒られるかな(笑)。暇つぶしって言っているけど、ただテレビを見ているようなそういったこととは違うわけですよね。たとえば、自分が班長になって自分の下にいる後輩たちの成長や人生を預かるわけですから。暇つぶしに対してそこまで思えるかどうかだと思います。自分に何が提供できるかを必死こいて考えたりとか、やったりとかしないと、僕はこの暇つぶしって言っている意味はなくなると思います。今、やりたいことが見つからない人はIVUSAで頑張ろう(笑)。直通のルートではないけど、何かしたいなって人にはすごくもってこいな団体かなって思います。

 

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―どれだけの機会を自分から取りに行けるのか、というところが大切なのですね。IVUSAの災害派遣の強みについてもみんなに知ってもらえるいい機会になったと思います。本日はありがとうございました。

 

熊本地震に対する募金活動の結果は【こちら

熊本地震救援活動については【こちら

 

 

 

インタビュー・編集:菊池 晴宏(京都産業大学3年)

カメラ:山本 真悠子(龍谷大学2年)

 

編集後記

4月に発生した熊本地震から3ヶ月ほど経ちました。メディアではもうあまり取り上げられることはなくなりましたが、震災で被災された方の傷、そして記憶は消えることはありません。ボランティア学生としてできることは微々たるものですが、ボランティア学生にしかできないこともあるはずです。それをこの記事で伝えられればと思います。