IVUSA TIMES

日本最大級のボランティア学生団体IVUSAの素顔が読めるWEBマガジン

第61回「「変」人の集まり」青谷静華さん 

61回目のIVUSATIMESは、この冬に行われた「第2回飯山雪まつり協働活動」のプロジェクトマネージャーである、関西大学4年の青谷静華さんです。IVUSAでの4年間で様々な「変」人に出会った青谷さん。その人たちに出会って、どんな「変」化があったのでしょう?


f:id:ivusatimes:20170328223800j:plain

―本日はよろしくお願いします。

関西大学4年の青谷静華といいます。よろしくお願いします。




―まず青谷さんがIVUSAと出会ったきっかけを教えてください。

新歓で先輩にビラをもらったのがきっかけです。ボランティアって聞いて就活に役立つかなと色々IVUSAのことを調べてみたら「あ、色んな事できるんや。」って思って。最初は高校のときが吹奏楽部だから、吹奏楽のサークルに入ろうと思っていた。でも、吹奏楽は歳をとってもできるけど、ボランティアはきっと自由な時間が沢山ある今しかできないって考えて、IVUSA に入るのを決めました。


―なるほど。入会してからこれまでどんなことをしてきましたか?

高校の吹奏楽部では部長だったので、責任感みたいなものを感じながら高校時代を過ごしていました。だから「大学入ったらもう私は自由だ。責任感に縛られずに生きるんだ」と思っていました。でもそのイメージは1年生の秋に、学園祭のIVUSA展示のリーダーをしたところから崩れて・・・。あれよあれよという間に、今はIVUSA全体の幹部を務めています(笑)。


―あれよあれよ・・・(笑)。

特に、2年生の時の夏のオオバナ(※1)で600人もの隊員の研修受講状況やアレルギー調査を管理する会員管理の統括をした事が、私が1番成長した出来事でした。
3年生の頃も自分の所属するクラブの学生役員を務めながら、幹部補佐もしていた。そんな中幹部選挙に出ると決心して、4年生の今年は幹部として1年間やってきたって感じかな。

(※1)オオバナ:琵琶湖外来植物駆除活動のこと。活動レポートはこちら


―そうなんですね。責任ある立場の中で、成長できたことはありましたか?

よくIVUSAでは2年生と4年生が1番成長するって言われています。振り返ると自分はまさにその通りでした(笑)。中でも1番成長できたのは幹部を務めていた4年生。元々人前で話すことが得意ではなかった私が、今年は幹部として大勢の人の前でたくさん話す機会をこなしたおかげで、今はだいぶ人前で話せるようになったし。

元々は人を使う事も苦手で。たくさんやる事はあるけど、ついみんなも忙しいだろうから・・・なんて思うと結局自分1人で全てやってしまう。極度の気遣いでもあるのかな。
でもこれは他人の成長につながらない。特に後輩には私ができる事をできるようになって繋いでいかないといけないし。そういうところも今年、4年生として後輩と一緒に何かをやって、残せるもの残そうと意識して取り組んでいました。

f:id:ivusatimes:20170328104900j:plain
f:id:ivusatimes:20170328104738j:plain
一昨年12月のIVUSA役員研修。幹部選挙に出た青谷さんは、2016年度の幹部に選出されました。(2枚目の写真・左から3人目が青谷さん)


―おお。さすが4年生です!青谷さんは今回の春プロ(※2)で活動のマネージャー(※3)を務めると伺いましたが、そのお話を伺っていいですか?

はい!今年2月の飯山雪まつり協働活動でマネージャーを務めました。具体的な内容は、お祭りをお手伝いすることを通して長野県飯山市の活性化を考える活動です。IVUSAは去年からこの活動をしていて、まだまだ新しい活動なんです。

(※2)大学の春休みに実施する大規模活動のこと。
(※3)活動の最高責任者。


―雪まつり!楽しそうですね。活動の内容はどんなものですか?

私は活動の目的として「若者とともに活動し華やかに盛り上げる」と掲げていました。その理由は、去年の活動で私が感じたお祭りを作る人の高齢化と担い手不足です。

この活動は主に「いいやま雪まつり」と「信濃平かまくら祭り」という2つのお祭りの運営補助をします。どちらも地域の若い人たちはお客さんとして来るけど、お祭りを運営する人たちは私のおじいちゃんぐらいの人ばかり。かまくら作る職人さんが中心という事もあるんだけど、準備作業も全部ご年配の人たちだけでやるのは大変だと感じたね。

今問題とされている地方の若年人口流失は、進学や就職のためっていう風に即座に食い止める事が出来ない問題が根底にある。でも、そうして故郷を離れてしまう若者が将来的に地元に戻ってくれば地方の過疎問題は少しは良くなると思うし、その為には自分の地元に「誇り」を持ってほしい。
その中で私たちができることとして、県外から来るよそ者のIVUSA学生との交流を通して、これから進学や就職で地元にいることが難しくなるかもしれない高校生なんかに、暮らしているだけでは気づかない飯山の魅力を再発見してほしいって思っていて。それが地元・飯山への誇りを持つきっかけになればと考え、「若者とともに活動する」としました。


f:id:ivusatimes:20170328105034j:plain
今年で36回目を迎えた「いいやま雪まつり」と、17回目を迎えた「信濃平かまくら祭り」。高齢な方が多い中、地元高校生とIVUSA学生も協力してお祭りを盛り上げていきました。


―普段住んでいる場所ほど、良い所を気付きにくい事はありますよね。飯山の活動中の思い出はありますか?

「いいやま雪まつり」で出会った飯山高校の教頭先生と話したことかな。
雪まつりでは、地元の高校生もボランティアとしてお祭りの一部を手伝っていました。でも去年の活動でも、IVUSAと高校生たちに繋がりや交流はなくて。今回の活動の目的を達成するためにも交流する場所を作りたいと思っていたところで、お祭りの実行委員の方が私の所へその教頭先生を連れてきてくれたんです。

飯山高校の教頭先生は面白くて、テンションもコミュニケーション能力も高くて、圧倒された(笑)。教頭先生は、「IVUSAの人すごいね、元気やね。学校の方針もボランティア活動を推しているし、来年も活動するなら是非連絡して欲しい」って言ってくださりました。

雪まつり・かまくら祭りを盛り上げることだけが活動に行く目的ではなく、将来的には地域全体をより活性化できるような施策を地元の高校生と一緒に取り組んでいきたいと思っているから、高校の教頭先生と会えてこういう話ができたのは、これからの発展を感じさせる一瞬でした。



f:id:ivusatimes:20170328105421j:plain
学生は積極的にお祭りのお客さんや地元の人とコミュニケーションをとって繋がりを増やします。


―これからを感じる活動ですね!そもそも青谷さんはどうしてプロジェクトマネージャーになったんですか?

それも去年の活動の時に感じた事からなんだけどね。去年は初めての活動だったから、私たちも地元の人たちもお互いに慣れていなくて、きっと地元のおじちゃんたちは「こんな若造たちに何ができるの?」って思っていたはず。私たちも何を手伝えばいいか分からないし、おじちゃんたちの口調もちょっと怖かったから委縮して、打ち解けるのに時間がかかってしまって。

それでもおじちゃんたちも私たちも「お祭りを盛り上げたい」っていう共通の想いがあったから3日くらいした頃に段々距離が近くなってくるのを感じて。不愛想ながらもおじちゃんが「はい、やるよ」ってリンゴ50個位くれたり、最初は「青谷さん」って呼んでいたのに「しずかぁ!」って呼んでくれたり(笑)。見知らぬ学生たちと関わろうとしてくれているおじちゃんたちに胸キュンしたというか、少しずつ打ち解けていけてとっても嬉しかった。その時に来年もまた飯山行こう!って思ったんだ。


―胸キュン(笑)。打ち解けられたのも、地元の人と学生が同じ方向を向いて活動できたってことですね!

そう(笑)。それから今年の活動では、あの嬉しさをもっと深いものにしていきたいと思いました。その中で私も4年間の最後に頑張りたかったし、なにより芽が出てきた飯山とIVUSAの関係を未来につなげていきたい、そしてその先頭に自分が立っていきたいと感じたからマネージャーをやらせてもらいました。



f:id:ivusatimes:20170328105713j:plain
活動中の青谷さん。


―先ほどの成長できたことのお話でもありましたが、4年生として最後に後輩へつなげられるように、プロジェクトマネージャーになったというわけですね。

そうですね。もう卒業だし、残せるものは残していきたいな。


―IVUSAで4年間やってきて成長したり、得たことはあると思います。では逆に何か失ったことはありますか?(笑)

得たことは、たくましさ。失ったことは、女の子らしさ(笑)。活動行っているうちに寝袋で寝られるようになったし、あまり言いたくないけどちょっと風呂入らなくても平気だし、普通嫌だと思うことも耐えられちゃうようになった(笑)。

あとは特に関西の男子の一部。女の子に対して気遣うところは気遣ってほしい。私は距離感が近いのは信頼の証だと思うから、もっと女の子扱いして欲しいとかいうことを言っている訳ではないけど、女の子扱いをしなくていい線引きをはき違えないで欲しいんだよ(笑)。そんな周りの人の影響もあって、女の子らしさは更に無くなったかな(笑)。


―なんとなく分かります(笑)。

関東の人は優しいからあまり知らないと思うけど、関西の男子は女子の扱いがひどいときもある(笑)。世の関西男子は肝に銘じて欲しいな。関東男子を見習えと(笑)。関西女子には負けずにたくましく生きてってメッセージを残しておくね(笑)。


―IVUSAでやってきたことを踏まえて、これから社会人としてやっていきたいことはありますか?

4年間IVUSAやってきて、学生のうちにもっと周りの人と一緒に何かをやる事を意識した方が良いって気づきました。
私は他人に指示して仕事を振るようなチームプレイが得意じゃないけど、IVUSAで色々な人と何かに取り組んだ経験をたくさんしました。その中で私はチームプレイが苦手だと自分のことを理解することができたのね。
これから社会人になって例えば会社に入ったら、絶対他人と一緒に何かを取り組むでしょ?もしチームプレイが苦手な自分を理解し切れていなかったら、うまくいかないときに何が原因かわからないまま苦しんでいた気がする。私は学生の間にIVUSAでの経験で自分を理解することができた。だからこれからは苦手な上でどう乗り越ええていくか、どう行動するか、他のどんな力を伸ばして行くかを考えていきたいかな。



―苦手なことも理解した上で受け入れることができればいいですよね。

一番の理想は4年間でできるようになって卒業して社会人でもそれが発揮できることだと思うけど、中々難しいからね。


f:id:ivusatimes:20170328223836j:plain


あとは、「学生時代はこうだったけど、社会人の時にはこうしよう」ってIVUSAでの4年間で沢山失敗したからこそ、その失敗を活かして社会人としてどうするかを考えられるように意識したい。大学生になったときに、高校ほど責任のある立場にはならないと決めていたのに結局IVUSAで幹部やっているから、社会人になっても同じだと思う。多分頑張っちゃうからさ(笑)。だからまたチームプレイで人に指示したり、仕事を振らないといけない場面が出てくると思う。IVUSAで私はそれが苦手で失敗した時もあったけど、その一回した失敗をまた同じ理由で失敗するのは何も進歩がないと思うから、そうならないように社会人になってからは意識しようと考えています。


―ひとつひとつの経験が自分にとってプラスになっていくといいですね。では最後に、あなたにとってIVUSAとはなんでしょうか?

私にとってIVUSAは、“「変人」の集まり”かな。この「変人」は、他人の気持ち・社会を変えられる人、自分を変えたいって思う人等々、色んな「変人」という意味があります。私自身も4年間の中で変わりたいって思ったし、IVUSAの活動も社会を変えるためのキッカケになっているかもしれない。みんなが今のままではなく、ボランティアを通してより良く変えたいっていう気持ちからIVUSAは始まっているから“「変人」の集まり”だと思います。


f:id:ivusatimes:20170328223951j:plain

―「変」えられる人の集まり。ということですね。青谷さんのこれからにも期待しています。ありがとうございました。そして4年間お疲れ様でした!


インタビュー:山本 真悠子(龍谷大学2年)
カメラ:池田 一輝(近畿大学2年)
編集:山田 充(日本大学3年)