IVUSA TIMES

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第76回 「可能性が広がる場所」 佐藤良賢さん

第76回目のIVUSATIMESは、今年の夏プロで「印旛沼クリーン大作戦」のプロジェクト・マネージャーを務めた東洋大学4年の佐藤良賢さんです(東京白山クラブ)。印旛沼についての知られざる想いや、学生最後の夏休みの使い方にも迫った、内容てんこもりの記事です!是非ご覧ください!

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―じゃあ、まずは自己紹介お願いしていいですか。
 はい。東京白山クラブ東洋大学4年の佐藤良賢です。お願いします。


―こちらこそお願いします。良賢さんは今年の夏のプロジェクトで印旛沼クリーン大作戦(以後印旛沼と省略)のプロジェクトマネジャーですよね?

 うん。


―なぜ印旛沼の活動に行こうと、プロマネをやろうと思ったのですか?を志望した動機を教えて欲しいです。

 元々印旛沼って夢企画から始まったんだ。


―夢企画ワールドカップってやつですよね?
 そうそう!ちょうど2年前かな。白山クラブの後輩が企画したのだよ。


―中山紗瑛さんですよね。
 そうそう。あ、知っている?


―調べてきました!
 おっと(笑)。ちょうど俺が2年前クラブの班長の時に、中山と室町が俺の班員だったのだよ。


―そうなんですか。

 そう。その班員の子たちが「印旛沼をどうにかしたい」って企画を出してくれて。当時俺班長だから、その企画に関わる流れで印旛沼がプロジェクトになる前から2年間くらい事前調整に関わっていた。それで去年班員だった中山が印旛沼のプロジェクトマネジャーになって。そもそも印旛沼は3年間だけ活動する計画で進めてあるプロジェクトなんだ。


―なるほど。今年で2年目ですね。
 もう既に俺自身、印旛沼の活動自体好きだし。そうなったときにじゃあ俺が今年プロジェクトマネジャーやろうかっていう話になったんだ。


―白山クラブで印旛沼の企画をゼロから組み立てていって、それをプロジェクトにして…。その過程に良賢さんが関わっていると。

 そうそうそう。


―最初印旛沼って千葉県にあるから、てっきり良賢さんも千葉出身なのかなと思いました。

 なるほどね。全然違うんだよ。俺新潟出身なんだよ。そこまで調べられなかった?(笑)。


―そこまで調べてはないです(笑)。今回プロジェクトマネジャーをされていますが、僕の想像するプロマネ像っていうのは、ぶっちゃけ大変そうなイメージ…。

 大変でしょ(笑)。


―大変ですよね(笑)。そのプロジェクトマネジャーとして、やりがいはどのように見つけているのかなぁって。

 やりがいねー。プロジェクト行く前に沢山勉強会とかあるでしょ。勉強会をやって次に結団式やって当日迎えて…。その過程の中で印旛沼についての知識をつけていくうちに、活動に対する想いが強まってだんだん隊のみんなの顔つきが変わっていくんだよね。自分事のように印旛沼を捉えて考えているっていう、その顔つきの変化が面白いよ。


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印旛沼クリーン大作戦のようす。みなさん気合が入っています。


―そうなんですね。私はプロジェクトの作り手を経験したことがなくて。そのように感じていたんですね。

 そう!その面白さもあると思う。それは多分やってみないと分からないかも。俺も分からなかったし。


―そこがやりがいみたいな?

 やりがい…そうだね。この先ずっと印旛沼の活動が続いていくのが一番の望みだし、今回の活動でそのきっかけは作れたかなと思っている。活動の隊員に「次も行きたいです」って言ってくれるのがやっぱり一番嬉しいかな。


―そうですね。やっぱりそういう言葉は嬉しいですよね。印旛沼の他にもいろいろ活動を経験されていると思いますが、何か他の活動と変わっているなっていう点はありますか?

 他の活動と変わっている点?(笑)。なんだろう。よく周りから言われるのは、雰囲気が良いって言われる。俺自身そんなゴリゴリしているタイプじゃないから、アットホームっていうか、隊全体の雰囲気が良いって言われるかな。


―なるほど。雰囲気ですか。

 他の環境保護の活動と比べて、印旛沼は雰囲気がちょっと変わっているかも(笑)。逆に「それが良い」って去年に続いて来てくれる人もいるし。雰囲気って言ってもプロジェクトに参加する人ひとりひとりが醸し出すものだからね。


―プロジェクト自体そこに集まる人で雰囲気が変わってくるんですね。

 そうそう。人がつくるものだからさ。だから良い人が集まっているんじゃない?分からないけど(笑)。楽しいと思うよ。みんなで印旛沼の未来を創りにいくみたいな。


―印旛沼の未来?

 もともとこの活動は印旛沼を「身近な沼にする」というゴールに向かって取り組んでいく中で、最初にナガエツルノゲイトウっていう外来植物の問題からアプローチして、だんだん印旛沼を身近な沼にしていくことが目的なんだよ。


―さっき聞いた感じ身近な沼って抽象的で、どういう「身近」なのかなっていうのが…。

 そうだよね。今印旛沼が掲げている問題って外来植物の問題もそうだし、あと水質汚濁。だけど今から30年前くらい前は水も綺麗で、そのまま沼の水飲めたり、子どもたちも来て遊んでいたり憩いの場だったんだ。そこで漁師さんたちも漁業したりして活発だったんだけど、今はどんどん疎遠になっちゃって。外来植物もいっぱいいるし、カミツキガメも…。


―カミツキガメ多いらしいですね。

 そう、DASH村じゃなくてなんだっけ?TVでやっていたよね!見た?


―見てないです(笑)。

 鉄腕DASHだ!鉄腕DASHで印旛沼のことをやっていてカミツキガメがやばいから獲って食べようみたいな。


―獲って食べようですか?(笑)。

 美味しく食べていたらしいけど。そんな感じで今沢山問題があって、昔みたいに子どもたちが遊べて、漁師さんたちが漁業して活発だったときの、人の心も通い合うそういう沼?それが身近な沼なのかな。


―それが身近な沼なんですね。

 結構曖昧だけどね。


―いや、さっきの話を聞いて何となく分かりました。

 分かった?(笑)。


―人がどんどん離れてしまっているという感じですよね。それを呼び戻すみたいな。

 うん。それが目的なんだけど、いつ達成できるのか分からないんだよ。5年後とか10年後とか、もっとその先かもしれないし。自分たちが親の世代になって、またその子どもの世代のときにやっと目的が達成できるかもしれない。この目的フワフワしているから(笑)。


―なかなか数年で達成するのは難しいかもしれないですね。

 その活動を自分たちが作っていく面白さもあるよね。


―ゼロから作っていって何年後か分からないけど、今の目的が未来に実現すればいいなっていう感じで活動されていると。

 そう。いつ達成できるのか分からないけど、達成できる日のために今土台を作る。


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―なるほど。

 でも学生だからどんどん卒業していっちゃうじゃん。だからどんどん後輩に受け継いでもらわないと活動も続いていかない。さっき言ったように「また活動行きたいです」って言ってもらえるのが本当に…嬉しい。


―そうですね。後の世代に繋いでいくことがこの活動の目的が実現する「手段」ですね。

 それも他の活動との違いかもしれない。最終的に地元の方々が自分ごとのように問題を捉えて作っていってほしいという想いもあるから、一般の参加者をビラ配ったりして募っている。今回は25人も来てくれた!


―IVUSAの学生も印旛沼の地元じゃない人が圧倒的に多いですよね。一般参加者25人っていうのは増えている感じなんですか?

 そう!去年は2人とかかな。


―じゃあ10倍くらいになっているってことですよね!

 行政庁の方は来てくれるんだけど、本当に一般の参加者、例えば地元の農家さんとか。そういった方々が25人参加してくれて。


―それは嬉しいですね!

 結局学生だけで作っていっても繋がらないと思うからね。


―そうですね。やっぱり地元に根付いたものでないとこういう問題は解決が難しいですよね。

 そうそう!一般で参加してくれた方が、またその知り合いを通してまた来年参加してくれるという良い連鎖になれば持続可能性が高まると思う。


―いきなり25人に増えたのはすごいです。

 でもね、最初目標としていたのは50人なんだよ。50人は難しいわ。


―難しいですよね。

 うん。でももっとできたのかなとは思うんだけどね。沢山後悔もありつつ。


―それはどんどん後の世代に改善してもらってということですよね。

 受け継いでもらえれば嬉しい。俺はもう来年卒業しているのでね(笑)。


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―ところで良賢さんは、学生生活最後の夏休みはどのように過ごされているのですか?

 とりあえず夏休み前半に印旛沼のための準備やって、地元少し帰って、ベトナム行って、その合間にIVUSA主催のキャリアサポートの営業しながら、本部の事やりながら…そこから山形での活動(山形県日本海沿岸清掃活動)に行って、また営業はさみながら、今度春プロの準備とかしつつ…


―なかなか凄い。パンパンですね(笑)。

 パンパンだよ。でもいつも予定パンパンにしちゃうんだよね(笑)。俺多分ね、他の今いる4年生と比べたら、プロジェクト行っている数自体は少ないと思う。


―それは以外ですね!今までは長期休みに何をされていたのですか?

 免許合宿に行ったり、去年はアメリカに短期で留学していたり。楽しいことはIVUSAだけじゃないしね。


―なんか俺もそうだなって思いますね。

  絶対そうだよ。プロジェクトもお金払っていく訳だしね。自分でそれなりに目標や見返りとか、成長できる実感がないと面白くないと思う。逆に今年の夏プロで5、6個も活動に行く人もいるし。いろんな人がいるけど楽しいと思う部分は人それぞれだしね。


―そうですよね。俺も今まで2つ行ったんですけど、みんな何かしら「学んだ」とか「悔しい」とか言っているじゃないですか。でもそんな気持ちが湧かなくて、「なんで俺だけそうなんだろう」って凄く思うんです。何でなんですかね?(笑)。

 まあでも、俺もIVUSAだけが学生時代の全てじゃないと思うしね。だからプロジェクト行かないで,短期で留学したり、旅行行ったりしていたし。もしかしたら、ちょっと中途半端な気持ちで活動行ったんじゃない?


―あ、少しあるかもしれないです。そういうところも大きいですか?

 せっかく行くならガチで1回行ってみるのも良いと思う!


―なるほど。

 何か変わるかもよ。「2万円も払っているんだ。真剣になんなきゃ」みたいな。そういう気持ちで臨んだら変わるんじゃない?分かんないけどね(笑)。


―本気になんないとダメなのかな。

 中途半端だと見えてこないしね。IVUSAだけじゃなくても、全てに同じことが言えると思う。遊ぶときも全力で遊んだほうが良い。


―それはそうですよね(笑)。

 そういう感じでね。


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―そういえば、ベトナムは観光で行きますよね。どこか行きたいところはあるんですか?

 ベトナムね、最初ホーチミンに着くんだよ。だけど向こうにいる友達曰く、「ホーチミンは発展しきっていて、東京みたいな感じでつまんないよ」って。


―えぇ!そうなんですか。

 最初ずっとホーチミンにいようかと思っていたけど、つまんないって言うから、昨日国内線の航空券取って、ダナンのほう行こうと思っていて。ベトナムの真ん中らへんの。そっちで2泊くらいして、またホーチミン戻ってきて。メコン川って分かる?


―聞いたことありますね。

 ジャングルクルーズ的なやつができるらしいの。リアルジャングルクルーズ的な(笑)。そこに友達と行って、ベトナム旅行は終わりかな。それで1週間くらい滞在するよ。


―絶対面白いですよ!それ(笑)。

 しかも安いし。


―ご飯とかも何十円の世界ですよね。

  おそらく。俺が泊まるホステルは1泊500円くらいなんだよ。


―500円ですか!?

 そう。それを考えると安いんじゃない?普通のホテルも多分2000円とか3000円だからさ。


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この取材の3時間後に飛行機でベトナムに飛び立ってしまうそうですよ!


―旅行好きなんですか?(花岡)

 旅行好きだね。海外が好きで色んなところ行っているよ。


―初めて行った国ってどこですか?

 アメリカだね。


―短期留学のときですか?

 短期留学の前にも普通に観光で行ったかな。


―いいなー!海外住みたいとか思います?

 住んでみたいかも。なんか新しいことしたい願望が強いんだよね。大学でIVUSA入ったのもその1つのきっかけ。


―新しいことがしたいということは、今までボランティアをしたことは無かったんですか?

 やったことも無いしボランティアに興味も無かったけど、なんか面白そうだなって思ってね。大学に入学した当初はいろんなサークルに6つくらい入っていた。


―そうなんですか!

 今はIVUSAと法学部の法律相談的なサークルの2つだけなんだけどね。それで今こうやって4年生になったっていうね。2年で印旛沼のこともあって、それがきっかけで3年のとき役員出ようと思ったし、役員やってみて結構運営的なものも面白いなと思って印旛沼のプロマネにも挑戦してあっという間に気づいたら4年生になっていた感覚かな。


―気づいたら?なんか今を生きているって感じですね。

 目の前にあるチャンスをひたすら追いかける感じ(笑)。IVUSAでこうなりたいっていう目標もそんなに無かったけど、短期的な目標を掴みつつ過ごしていたら、印旛沼でプロジェクトマネジャーも務められたし、自分の中では次につながる良い活動ができたかなって思う。


―中間的な目標をどんどん立てていって、それをクリアして。気づいたら「あー4年生だ」って感じですかね。

 そうだね(笑)。最初からIVUSAにのめり込んでガツガツやって、「俺はクラブマネジャーなるんだ」と言っている人もいるけど多分俺はそういうタイプではないと思う。IVUSAもやりつつ、他にも海外とか旅行行ったりもしつつ。学部の勉強も興味あるしね。


―僕も正直そういうタイプです。

 ただ、面白いとは思うわIVUSA。4年間やっていて。


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-どういったところが一番面白いと思いますか?

 いろんなところにチャンスがあるところ。今IVUSA TIMESとして取材をして写真撮っている訳じゃん。そういうところに進むチャンスもあるし、クラブマネジャーとしてクラブを支える人、ずっとプロジェクトに行って4年生になっても班長やっている人、IVUSAのファンドエイジングとして営業だけをずっとやっている人もいる。いろんなところにチャンスがあって、自分のやりたいこと掴んでいけば、可能性がどんどん広がっていくというか。それが面白いと思う。一本道じゃない。


―多種多様で自分の好きなところに行ける感じですよね。僕もそんな感じでやっています。

 本当に!?(笑)。これは興味あるの?IVUSA TIMESとか広報系のことは。


―最初に声かけてもらって、もともとこういう報道ものに興味あって。

 本当に!?(笑)。


―IVUSAの広報というよりか、その人をクローズアップしたいというか。

 なるほどね。


―自分の知らないことを知れるじゃないですか。自分と違う価値観とか思想とか。そういうのをもっと知りたいなと思って、今こうしてインタビューしている感じですね。

 めちゃくちゃぴったりじゃん(笑)!あまりプロジェクトとか行ってなくてもそういう道を自分で見出せたわけだし面白さはそういうところだなって思うよ。


―なるほど!

 ただ、やってみないと分からない面白さもいっぱいあると思う。印旛沼のプロマネもやってみないと分からない初めて気づいた面白さもあるし、見え方も、感じた責任とかプレシャーも全然違った。だから、色々ある中で好きな道を選んで、道によって全然面白さも見え方も感じ方も全然違うのも面白いかな。


―そういうところが面白さなんですね。全部分かった訳じゃないんですけど、何となく伝わってくるものがあります。では、最後に、「あなたにとってIVUSAとは」を今回もやってもいいですか?

  いいよ。それってやらない選択肢もあるの(笑)。


―ない(笑)。 NHK的な感じでね(笑)。


―それでは、あなたにとってIVUSAとは?

 「可能性が広がる場所」。さっき言ったけど面白さがいろんなところにあるし、その道々で面白さは違ってくる。自分のやりたいなって思ったことを進めていけば良いと思うけど、ただその道は道なりに、それぞれ面白さの可能性を秘めている。その可能性が広がる場所、何か無限に可能性が広がっている場所かなと思う。というのを今まで誰か言った人いる?誰かいそうじゃない?


―「可能性が広がる場所」ですか?どこかで見たことあったかもしれないです(笑)。

 じゃあ「可能性が広がる場所」で!


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印旛沼クリーン大作戦プロジェクトマネジャー時の佐藤さん(右)。


―分かりました(笑)。

 自分の分からない部分も実際やってみると面白いなって思うかもしれないし。だからIVUSA入っていない他の普通の学生だったら、何百人もまとめなきゃならない印旛沼のプロジェクトマネジャーをする機会なんて無いじゃん。


―確かに無いですよね。そういう機会は。

 感じるプレッシャーや責任、重圧もリーダーやってみて初めて感じると思う。それをできる可能性がIVUSAにはあって、キャリアサポートで営業やっていくという営業の楽しさ、それを気づける可能性もIVUSAにはあったし、クラブの役員をする可能性も幹部として本部全体を見ていく可能性もあって、色々な可能性を掴んでいける。


―なるほど!可能性は無限大ということになりそうですね。本日はありがとうございました!インタビューしていてとても楽しかったです!

俺もすごく楽しかった!ありがとう!


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インタビュー・編集:高橋諒(神奈川大学2年)
カメラ:花岡香奈子(東洋英和女学院大学3年)



~編集後記~
実は、私と花岡さんと佐藤良賢さんの3人の共通点は、今年二月の「大石どもんこまつり」に参加していたことなんです。
以来、約半年ぶりに良賢さんとお会いし取材をさせていただくため東洋大学へと向かいました。
私としては春プロで一緒だったことを覚えていらしゃるかどうかが一番の不安事項でしたが、そんな心配は全くの杞憂に終わりまして…。
とても気さくに話しかけていただいて、「どもんこでもっと話しておけばよかった…」とちょっぴり後悔。
そのため取材は和気藹々とした楽しい雰囲気の中、終始楽しく取材させていただいた結果、総字数6700字(通常の2倍!)の大作が出来上がったのです。
字数が多い対話形式に力を入れた記事なので、その分良賢さんの魅力が十分読者の皆様に伝えることができたら幸いです。(りょう)