IVUSA TIMES

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第89回 「日本最大の教育現場」 戸川雄策さん

第89回目のIVUSATIMESは、「第14次中国緑化活動」のプロジェクトマネージャーである国士舘大学4年の戸川雄策さんです。海外プロジェクトに行きたいと思える魅力がたくさん詰まっている記事です。 是非ご覧下さい!


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ーまず自己紹介からお願いします。

 はい、国士舘大学世田谷クラブ4年の戸川雄策です。よろしくお願いします。

―お願いします。まず中国緑化活動が開始した成り行きをお聞きしたいです。

 はい。もともと中国では砂漠化が進行していて、砂漠化を止めるための緑化活動に日本も何かできないのかっていうことが始まりでね。それと、日本と中国の学生が、より良い友好関係を深めていくという願いもあって。
 「中国で何かしたい」っていうIVUSAの学生たちの熱意から大交流会がまず開催されて、そこがきっかけとなって徐々に活動が始まりました。第1回目の活動前に、当時の小渕首相が作った日中緑化交流基金の支えのおかげもあって、中国の活動は今年で14回目を迎えることができました。

―今年で14回目なんですか!すごい長いですね。

 そうなんですよね。

―具体的にどんなことを活動中は行いますか。

 今年は、中国とモンゴルの国境付近にある内モンゴル自治区のダラト旗っていう地域で、現地の方々と現地のボランティアスタッフと一緒に植林活動をします。
 去年は、緑のある場所から砂漠に通ずるレンガの道があったんだけど、それが崩れていたから、レンガをみんなで運んでそれを敷き詰めて直していく舗装作業もやったな。意外と植林活動って言っても、単に木を植えるだけじゃなくて、いろいろな準備段階や、木のせん定作業、枝を切る作業とかもやります。

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写真:植林活動の様子


―そうなんですね。確か中国の活動だと、日中間の交流もありますよね。

 そうだね。砂漠化が進行している現地に日中みんなで集まって。俺たちはよさこいや、今流行っているダンスを披露して、向こうの中国の方も合唱やダンスを披露してくれてお互い仲を深めるっていう大交流会が今回もあるね。
 あと、ダラト旗だけじゃなくて、大学との交流があって今年は語言大学と行います。
楽しく交流もするし、お互いに今の日中関係についてどう思うか、自分たちにできることって何かあるのかなって語り合うこともあります。

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写真:交流会の様子


ーそうなんですね!すごく楽しそうです…!そんな中国の活動の目的が前々から気になってて。

 中国隊は1次隊の頃からずっと同じ目的を掲げています。要約すると「日本と中国の平和の架け橋になるために自分たちが友好関係を結びましょう」というのが目的。
 植林して緑を増やすことや砂漠化の進行を止めることが活動のメインだけど、実はそれだけじゃないんだ。


ーそれだけじゃないとは?

 環境問題に一緒に取り組むことを通して、日本と中国の絆を深めて、政治的な難しい問題を、民間レベルから解決していこうということがこの隊の根底にあるんです。
 ずっとこれを大切にしてきてるんだけど、本当にこれが全てというか、この活動の意義でもあるかなあと思ってます。

―ここで、中国緑化活動でプロジェクトマネージャーをやろうと思ったきっかけを教えてほしいです。

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 1つめは先輩への憧れかな。一昨年、俺の2個上のプロマネがすごくかっこよくて。去年は俺の1個上の先輩がプロマネをやってたんだけどやっぱりかっこよくて。「あぁ次は自分がその立場になりたいな」っていう思いがあった。
 2つめは、自分自身の今があるのは、たくさんの影響を受けた中国隊があったからだなって思っているから。
だからこそ活動に恩返しじゃないけど、後輩たちにそういう風に思ってもらいたいというか、それを形作る立場になりたいなって思ったのが、プロジェクトマネージャーをやろうと思った理由です。

―影響を受けたっておっしゃっていましたが、具体的にどんな影響を受けたのですか。

 中国隊で影響を受けた後に変わったという意味で言えば、去年世田谷クラブでクラブマネージャーを務めたことかな。
 中国隊に行ってから、今までは気づかなかった同期や先輩からの刺激を感じ、自分自身お世話になったことを経て、クラブマネージャーに立候補したいってことを意識してなることができたのかな。

―クラブマネージャーにつながったんですね!海外のボランティアだと、他にも色々あると思うんですけれども、その中でも中国の魅力は何ですか?

 他の活動っていうと、発展途上国で生活に困っている人に対する支援がメインになると思うんです。
中国の場合はもちろん環境問題に困ってはいるんだけど、日本より経済力を持った国なんだよね。しかも国からお金をいただいて自分たちが行ってるっていうことによって、結構現地の方も本当に日本人代表のように手厚い歓迎をいただいています。
 だからホテルに泊まったり、レストランも良いところに連れて行っていただいたりして。それによって何が他の活動と違うかって言ったら、日本と中国の友好関係を結びましょうっていう中で相手に与える影響の大きさかなって思っていて。

ー影響ですか?

 例えば、現地の人に話しかける言葉とか態度とかによって、「あ、日本人ってこういう人なんだ」って思われる。
それが良い態度や良い接し方をすれば、「あ、日本人って優しいんだ。良い人たちかもしれない」って思ってもらえるかもしれない。でも不愛想にしたら「感じ悪いな」って思われてしまう。
そのことの影響力ってすごく大きいのかなって思っていて。それが他の活動とは大きく違うところかな。

―なるほど…!代表して行くからこそ影響力は大きいですね。では、今年来てくれる人たちにメッセージをお願いします。

 日本人からと中国人からの見方は、事実は一緒なんだけど、歴史の教え方一つで全然違う物語になる。
それが本当に人によっても違うし、国、立場によっても違うし、色んな要素が重なって起こると思うんだ。
 でも、それってお互いの価値観の違いを理解するというか、そもそもそんな違いがあるんだっていうことに気付けるし、またそこで価値観の幅も広がるのかなと。それはすごく魅力であり、かつ大切にしてほしいことかなって思います。


―価値観はすごい大切だなって私も思います。今の1年生はまだ海外に行けないと思うんですけど、春から参加できる1年生に何かメッセージはありますか?

 これは中国隊に行きたいと思ってくれている子たちに限らず、海外に行きたいな、興味があるなっていう人向けのメッセージになるんだけど、俺自身中国の活動は今年で3回目だし、今年の春にはカンボジアの活動も行って、本当に海外に行くことによって得られる経験が全然違う。


ーと言いますと?

 やっぱり普段見れないものを見て、感じることができる。かつ、現地に行かなきゃ分からないこと、旅行でもここまで現地の人と深く話せる交流できる機会っていうのはないから、IVUSAで行くからこそ得られるものっていうのも多くあるなって感じている。
 だから行きたいって思う気持ちがあるのであれば、今からお金を貯めれば行けるかもしれないし、多少無理をしてでも行ってみる価値はあるのかなと思っていて、その一歩踏み出すことはすごく大きなことだなと思うので、ぜひ来年行ってみてほしいなって思います。


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―海外はすごい魅力的だなって私も思います。続いて、戸川さんがIVUSAに入ったきっかけを教えていただきたいです。

 IVUSAに入ったきっかけは友達がボランティアに興味があって一回行ってみようって言ってくれて、説明会に行って、気付いたら入ってたみたいな感じで(笑)。その友達は2年生に上がる頃に辞めちゃったけど俺は4年までどっぷり浸かってました。

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―そこから、どうして国際協力に興味を持ったんですか?

 元々海外でボランティアがしたいっていう思いはなかったんです。だけど海外には興味があって、1年生の春休みに友達と2人で台湾に旅行したことがすごく面白くて。
 身の危険を感じるようなことも実際にあったし、日本ではあり得ないようなエピソードがたくさんありました。その時に海外に行くことによって日本のことが分かるかなと思って。
 日本で常識だったことすら何も知らないで海外に行くと、「あー実はこれ日本の常識だったんだ」と。でも、海外では全然違う常識が当たり前のことだったり大事にしていることだったりする。それで、「もっと色んな国に行きたい!」って1年の春に思ったんだよね。

ー海外旅行に興味を持ってそこから国際協力にのめり込んでいったんですね。

 そうだね!俺の場合はこの国のために何かをしたいという思いよりも、自分にとってどういう経験ができるんだろうっていうことをベースにして考えてた。同じ海外でも、旅行するのとIVUSAの活動に行くことの違いってすごく個人的に考えてたからなんか話したくなってね。


ー旅行と活動の違いですか?

 旅行だと、全部自分たちでやらなきゃいけないから、ホテルからこの場所に行きたいなって思っても行くまでが大変だし、レストランで食べたいものがあっても注文すること自体が難しい。
 そこで言葉の大切さを感じたし、それ自体が非日常。自分たちが思ってることを伝えることが難しい環境に行くことが一番刺激的で面白くて。


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写真:中国緑化活動集合写真


ーそんなんですね!逆にIVUSAではどんな違いがありますか?

 IVUSAの活動だと団体行動だから、言葉の通じない大変さの中にある楽しさっていうのは正直あんまり得られないからその国の人の日常には触れにくいなと感じた。
 でも逆にIVUSAで行くからこそ、あんなに深い関わりを持つことができる。そうじゃなかったら「お互いの国がどんなふうになっていったらいいだろうね」なんて留学生や仲良い友達ができてもそんな話するか分からない。そういう機会があって現地で話せるっていうことは、旅行に行くだけではできないからすごく良いのかな。


ー中国の活動だと長い時間中国に滞在すると聞きました!

 確かに滞在日数が長いね。結構大変な所に日本を離れて行くことで隊内のすごい関係性も深まるし。日本と中国、どちらとも良い関係を作れるのは魅力の1つかなって思う。
 だからIVUSAの海外活動だからこそ、得られること感じられること、それによって価値観が広がるっていう面では、魅力だなと思ったから、みんなにはどっちも行って欲しいな(笑)。

ーありがとうございます!IVUSA以外に頑張っていることはありますか?

 IVUSA以外に頑張っていることはなくて(笑)。
 なんだろうね、趣味ではないけどそれ以外の空いた時間に何するかって言ったら、ドラマ見るのが好きで家でひたすら録画してたまったドラマをばーって見るみたいな(笑)。もう半日くらいずっと見てる。

ーいいですね(笑)。―最後に戸川さんにとってIVUSAとは何ですか?

「日本最大の教育現場」かなと思っています。IVUSAって色んな経験ができて、普段行けない所にも行けて、色んな人と交流できて深い関係を持てるしね。何よりも自分の弱いところとか、嫌なところっていうのをすごく見える場所なのかなって思ってます。
 学生のうちに、どういう経験をするかがすごい大事かなって思ってて。IVUSAは本当にひとつひとつ自分たちが「教育」という意味で成長するための場所、「教育現場」なのかなっていう想いが大きいですね。


ーなるほど!今日はありがとうございました!


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インタビュー:内藤美紀(神奈川大学2年)
編集:髙橋諒(神奈川大学3年) 内藤美紀(神奈川大学2年)
カメラマン:花岡香奈子(東洋英和女学院大学4年)


~編集後記~
初めてインタビューをさせていただきました。旅行で海外に行くこととIVUSAで海外に行くことには違いがあり、そこで得られるもの学べるものに感動しました。中国緑化活動のプロジェクトマネージャー応援しております!
(内藤美紀)