IVUSA TIMES

日本最大級のボランティア学生団体IVUSAの素顔が読めるWEBマガジン

第110回「夢への通過点」佐竹悠希さん

第110回のIVUSATIMESは、第6回山形県日本海沿岸清掃活動のプロジェクトマネージャー、そして、26期群馬高崎クラブのクラブマネージャーを務めていた佐竹悠希さんです。新型コロナウイルスの影響により中止になってしまった春プロジェクトも多い中、プロジェクトマネージャーたちがどのような思いで取り組んでいたのか。さらに、話が上手くなる方法や高崎クラブの将来についても伺いました!

今回のメニューは、
1. 山形6次隊にかける思い
2. 人前で話す時意識していること
3. 高崎クラブはどんなクラブ?
4. IVUSAは「夢への通過点」

となっております!


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1. 山形6次隊にかける思い

―まず自己紹介をお願いします!

群馬高崎クラブ4年の佐竹悠希と言います!お願いします。


―よろしくお願いします!まず、山形のプロジェクトマネージャーのことからお聞きしたいです。山形県日本海沿岸清掃活動というのはどういう活動ですか?

海洋ゴミについて考えたりするのももちろん大事なことなんですけど、今回の活動は、ゴミ拾いを通じてどうやって地元の方の心を動かしていくか、自分たちに関わることとして海洋ゴミの問題を捉えてもらうかというのをすごく大事にしています。


―なるほど、地元学生を巻き込んだり地元のボランティアとタッグを組んだりというのもあるんですよね?

そう!IVUSAが活動できるのは春夏合わせてたった2回しかないからどうしても時間がたてば悪化していく海洋ゴミ問題を解決するのは難しくて。だから、地元の方々だけでも解決しやすい環境を作っていくために、山形を巻き込んでいくってことが大事な部分になっているかなと思います。


―今回山形の清掃活動でプロジェクトマネージャーをやろうと思った理由はなんですか?

理由はいろいろあるけど大きく2つあるかな、1つは自分が得た経験や知識を後輩たちに伝えられる最後の機会だから。もう1つは自分が1年生の夏に始まった1次隊と4年生の夏にあった5次隊までの雰囲気っていうのが良い意味でも悪い意味でも変わってきている実感があって。もう1度1次隊の時の「何もないところから作り上げよう!」っていう気持ちや姿勢を最後に体現したいなって思ってそれならプロジェクトマネージャーとして先陣切ってやるのがベストかなと思って立候補しました。


―1次隊から5次隊まで行き続けているということなのですが良い面で変わったところと悪い面で変わったところをお聞きしたいです。

良い面はやっぱりIVUSAに入っている入っていないに関わらず、地元の子たちが参加してくれて、そこからゴミ拾い以外のところにも発展して目を向けてくれるようになったことかな。あとはIVUSAの子たちも「交流会をしたい」だとか「学生を呼びたい」っていういろいろなアイデアが出てくるようになったのがすごく良いところかな。その反面悪いところはゴミ拾い以外のことに手を広げるがゆえにゴミ拾いのことが若干ないがしろになるっていうか。本来はそこを真剣にやることで次のステップが生まれると思うんですけど、そこの根本的な部分が弱くなってきているかなというのを感じています。


―1次隊から行き続けてきたからこそ今までどういう隊だったかとか分かるんですね!

1次隊のときは「よそ者」っていうイメージが強くて、海岸清掃をさせていただけないこともありました。加えて、隊の規模が小さくて想定していた箇所を全て清掃することができなかったり。2次隊では台風の影響などによって満足に活動できないこともありました。でも、徐々に地元の方々に認められていったこともあって、3次隊以降では清掃活動をお願いされるくらい信頼関係を築くことができたのは嬉しかったな。結果として今では山形にクラブができたり、昨年度共に活動させていただいた湯野浜温泉観光協会様からもぜひ!と声をかけていただきました。最初の活動から山形に関わっているから良くないことも目につくけど、良く考えたらものすごい速さで進展している活動かなと思ってる。


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―6次隊に向けての気持ちをお聞きしたいです。

今回は「本気のゴミ拾い」というのをすごく大事にしています。1次隊から活動してきた中で自分たちがどのようにして地元の方たちに受け入れられてもらい、地元の方たちの心を動かすことができたかを検討して、どういうゴミ拾いをしたらいいか、姿勢を見せたらいいかというのをもう1度考えられる活動にしたいな。


―プロジェクトマネージャーっていうのはどういうことをするんですか?

プロジェクトマネージャーの仕事は俺のイメージでは2つあって、1つは実務的な部分で、プロジェクト全体を見たり、各マネージャーや統括が何をやってるかを見ること。もう1つは隊員がこの人についていけばいいんだなっていう安心感だったり、信頼を置いてもらう姿勢を見せるのが隊員に対するプロジェクトマネージャの仕事かな。


―まだ活動は始まっていないですけど、勉強会とかでもリーダーシップがあって頼りになるなっていう印象がすごくあります。

そうだね。俺は自分が背中を押すような先輩にはなかなかなれないから、それよりは人の先に立って道を切り開いて自分の後ろに人が来るようなリーダーを目指してる。自分自身そっちの方が向いてるかなと思うし俺はそういうリーダーについていきたいと思ってるから見せ方は大事にしてる。



2. 人前で話す時意識していること

―クラブ会だったり運営会議とかでも思ったんですけど、佐竹さんって言葉に力があるというか話し方とか内容に説得力があって人を動かすような力があるなあと思ったんですけど意識していることとかってありますか?

自分が相手に対して何を伝えたらいいのか、どう伝えたらいいのかは考えるようにしているかな。それと、今のことじゃなくて、将来的なことを意識するように心掛けてる。あと!相手のことを否定はせずに事実を伝えるというのは大切にしていて。厳しいことを伝えないといけない時もあるけど、人格は絶対に否定しないようにしてる。「今、こういう状態だから将来的にはこれが必要だと思う!」みたいな感じ!4年生ってみんなに与える影響が大きくなりがちなので、「これが答え」って思われないように言葉を選ばなくちゃいけないなって。


―ありがとうございます!佐竹さんが言ったことで何かしらみんなが考えることがあると言うか頭の中が整理されたりするのですごいなと思っていました。

いろんな役職を経験してきた分、後輩たちにもして欲しいなと思ってる。運営会、説明会等も、みんなが時間を作ってわざわざ来てくれてる以上、参加する前と後で何かしらの変化があるように心掛けてる。来てくれる人に申し訳ないと思って。どんな影響を与えられるか、気づきを与えられるかというのは考えながらこのタイミングでこういうことを言った方がいいなとかみんな顔曇ってるかなとかは見ながらやっているかな。相手の反応は常に見たり場の空気は考えるようにしてる。


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―今思い出したんですけど私佐竹さんと初めてお会いしたのが環境保護の勉強会で、その時にこの人OBかなって思ってたんですよ!話し方が先生みたいで(笑) 。

喋り方ね(笑)。俺は一応教員を目指していて、勉強会に関わったり、人前で喋る機会が多い方がいいかなって思って意図的にやっているところもある。あとは勉強会とかイントラを通して相手に内容が伝わりずらい場面も見てれば分かるから、見る目を養うっていうのも教員になろうとしてる身としてはやってよかったなーって。後は慣れ!こうしたら面白いかなとか。


―やっぱりそれは経験とかがあって養われていったものなんですか?

うーんだと思う。前に出て、話して、慣れていく地道な努力が自分のスタイルを見つけることになるかな。1人1人の顔を見ながら伝わりにくいなって思ったら言葉を変えてる。言葉に説得力を持たせられるようになるって言うのは、状況を見て言葉を変えたりできるようになることでもあるって今話してて思った。


―私が会った中でIVUSAでリーダーをしてる方って話が上手い人が多いなと思ったんですけど、それも慣れなんですかね。

話が上手いのもみんな考えてやってるからだと思うよ!特に、プロジェクトだったら話を聞いてもらう「雰囲気づくり」は大切にしてる。雰囲気で話がうまく聞こえちゃうこともあるし(笑)。自分もリーダーをやってみて、プロジェクト前にあるたった2回の勉強会とか数少ない会う機会の中でしっかり物事を伝えていかなくちゃいけないから準備がすごく大事で、どのプロジェクトマネージャーもやっているんじゃないかな。

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写真:活動前の勉強会の様子です。

―経験とその裏で準備してるって言うのが知れたので勉強会行くのも大事なんだなって改めて思いました。

そうだね、内容だけじゃなくて前に立つ人によって場の雰囲気も伝え方も変わってくると思う。リーダーはそれぞれに合ったキャラを探しながらやってるところもあるんじゃないかな。みんな同じじゃないからいいと思うしね!


―貴重な話が聞けて良かったです!


3. 高崎クラブはどんなクラブ?

―佐竹さんは高崎クラブの*1クラマネの経験もありますが、佐竹さんにとって高崎クラブはどういうクラブですか?

今はすごい地域にとって可能性のある団体だなっていうのは思う。自分は地域政策学部っていうところに所属していて地域政策をどう考えるかを学んでいて。勉強する中で民間でも公的機関でもないNPOが担わなければならない部分があることを学んだ。だから、高崎クラブが次どういうアプローチをしていけば群馬県内において有用な団体になれるのかっていうのは考えたりしてる。自分のクラブ自慢になるかもしれないけどIVUSAの中でも高崎クラブは置かれている環境や持ってる資源を考えると可能性はいくらでもあるんじゃないかなと思う。群馬県出身っていうのもあるけど地元好きだからIVUSAがそういう団体になってくれたら嬉しいな。


―私は大学進学で群馬県に来て、群馬いい所だなと思っていたのですが抱えている問題とかがあるんですか?

これは大学の勉強をして分かったんだけど、基本的に地方の人って県外に出て行く理由が進学や就職が多いんだよね。俺が高崎クラブこうなってほしいなっていうのは、高校生が進学先に高経とか県女とかを選んでくれることによって大学生が県外に行かなくなる、地域に残る。若者が地域に残れば相対的に人口比が変わってきて地域が勝手に若返ると言われているから。そのために群馬県内の大学が高校生に進学先になってもらえるようなアプローチをするのも面白いと思う。県内全部の大学にIVUSAがあれば 、高校生の選択肢を増やすこともできるし、そういうのが結果的に地域の持続可能性に繋がるんじゃないかな。10年後20年後に高崎クラブがその中核を担うような団体になってほしいと思っているし、俺はそういうビジョンが見てみたい。こういう学んだことが山形にも応用できないかなと思って山形の活動に関わり続けてきたのもある。

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―なるほど、地域政策っていろんな可能性があるんですね!

高崎クラブは地方だからこそそれができるし、地域政策を本気で学んでる人がいるから、学んだことを応用して群馬でそれが実践できるかもしれない。高崎クラブとして結果を出し続けて、そういう将来があったら面白いと思わない?それで将来的に自分がいた団体として誇れたら嬉しいな。俺は地元が好きだから地元のために何かしたいって思うわけだけど。


4. IVUSAは「夢への通過点」

―大学で学んだこととも結びつけていて流石4年生だなと思いました!次に、タイムズで恒例の質問になっているのですが佐竹さんにとってIVUSAとは何ですか?

これなー昨日から考えてるんだけどなー。 難しくないこの質問(笑)。俺にとっては夢への通過点かな。俺は社会科の教員を目指してるんだけど、自分の理想の教師が自分の経験をもとに授業ができるっていう先生なんだよね。そういう教員になるためにIVUSAに入ったし、色んな活動に行って役職も経験して自分の視野とか自分の知識を広げられたと思う。だから、IVUSAは夢への通過点かな。


―最後に卒業する先輩として後輩に伝えたいことはありますか?

最近すごい感じてるのは、IVUSAに入っている4年間の中で物事を考えるんじゃなくて、自分の将来から逆算してIVUSAで何をしようかなというのは見つけてほしいなって。卒業する先輩として、後輩には、なりたいものがある人はそのために何ができるかを考えてほしいし、ない人はどういう人になりたいかを探すためにIVUSAで行動してほしいと思う。1人1人が自分の中で目的を見つけて何をしたいかを探せば意識も行動も変わってくるし、恥ずかしがらずにやっていい。俺はIVUSA入った時に友達から意識高いよねとか言われたけどそれは恥ずかしいことじゃないし意識は低いより高い方がいいいと思うから。
俺はいろんな所でいろんな人に迷惑をかけながら好きなことだけをしてきたから何も言えないけどね(笑)。 卒業した後にあの先輩いてくれてよかったなぁと思ってもらえればいいかな(笑)!

―今日は長い時間ありがとうございました!


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編集後記:竹内栞

山形の活動、高崎クラブについてと内容が盛りだくさんでしたが、全体を通して佐竹さんの後輩思いなところが伝わってきました。また、夢に向かって自分から行動する姿は私も見習わなくてはと思いました。今回初めて取材、編集をしてIVUSATIMESの先輩方、そして佐竹さんに本当にたくさん助けていただきました。ありがとうございました!
インタビュー,編集:竹内栞
写真:小西ひかる


*1:クラブマネージャー。各クラブでリーダーを担う人のこと。