IVUSA TIMES

日本最大級のボランティア学生団体IVUSAの素顔が読めるWEBマガジン

突撃! 活動現場deインタビュー〈東日本大震災復興支援活動〉

現場取材Part7となる今回は、宮城県山元町にて行われた2023年春・東日本大震災復興支援活動についてです!3月9日から3月13日の5日間にわたり行われ、2人のタイムズ員が参加してきました。東日本大震災から今年で12年、13回忌を迎える3月11日に隊員は追悼式に参列させていただきました。活動拠点となったお寺の住職をはじめ、沢山の地域の方々に震災当時のお話を伺い、隊員それぞれが改めて震災について改めて深く考えました。取材を受けてくださったのは、プロジェクトマネージャーを務めた中村有沙さんと、今回がプロジェクト初参加の伊波妃華さんです。現地での取材を予定していたのですが、活動中に時間が取れず事後取材となっています。おふたりがいったいどのような想いで参加し、自分自身にどう変化をもたらしたのか…濃い内容になっているのでぜひ最後までご覧ください!!




プロジェクトリーダー・東京日野クラブ4年中村有沙さん


―まず、自己紹介をお願いします。(渡辺)

東京日野クラブ4年の中村有沙です。よろしくお願いします。


―よろしくお願いします。では、今回の東日本隊に対してどのような想いをもって活動していたのかお聞きしたいです。

はい、東日本の活動は今年で12年目、13回忌を迎える長い活動です。震災から12年経っている土地でどのような活動をするのか、みんなが気になっているなかでの難しい活動でした。2017年から続いている活動目的を継承し、その達成に向けて今年なにができるかを考えたときに、私たちがコロナ前の先輩方を知る最後の代だからその時の先輩方の気持ちを繋げていきたいという想いがありました。また、東日本大震災自体が昔のことみたいになるのが嫌で風化させたくないとか、継承してほしいっていう想いから今回隊のコンセプトに温故知新を挙げました。温故知新は故きを温ねて新しきを知るだけじゃなくて、それを身につけて伝えられる師になるような存在になるっていう意味も入っているからそれを体現できる隊員たちになってほしいなって思って今回隊を掲げました。


―温故知新には東日本の活動に対して様々な意味が込められているんですね。

もう一つは個人的に、1.2.3年生の隊員たちがこれからIVUSAで活動して社会を変えていくうえでこの活動をきっかけにIVUSA頑張ろう、来期頑張ろうって思える活動になってほしいなって思ってます。地域の方々にとってもこの活動でIVUSA帰ってきたな、じゃあこれからもう1年頑張ろうかみたいな気持ちになってもらえるような活動にしてほしいなっていうふうに2つの背中を押せるような活動を目指してやっていました。




―沢山の想いがあって活動されていたのが凄く伝わりました。実際に活動を通して隊員たちの様子の変化はどのように見えましたか?

今回の活動は初めて山元町に来る人が多くて、1日目のフィールドワークは受動的になっていたり、感想や班ミーティングを聞いても「~思いました」とかで終わってたんだけど、日を追うごとに自ら配膳の仕事を進めてくれたり、班長じゃなくても忘れ物がないか確認したり、そういう小さなことでも受動的なことから能動的なことにつなげる人が多いなって思った。言い方をちょっと悪くすると今回の活動は嫌でも絶対交流させるような内容だったのね。最初は参加者だった人たちが隊員同士もそうだし、地域の方々、先輩方とも交流会があって経験することで自分から話にいけるようになって、参加者から隊員側に自分で気づいて行動に移せるように変わったのかなって1日目から最終日を見て思いましたね。


―活動中は毎日交流会がありましたが、交流会を沢山設けてくださった意図や、これだけ多くの交流会ができる理由をお聞きしたいです。

交流する目的は私たちにこのような経験を二度としてほしくない、次に生かせる人材になってほしい、IVUSAが来てくれるならこの気持ち伝えなきゃもったいないよねっていう地域の方々の想いと、私たちもただ行ってボランティアするだけじゃなくて地域の方の生の声や震災体験を聞かなきゃだめだよねっていう考えから交流会は開いてるのね。それから今回の温故知新に戻るんだけど、まずは気持ちとか内容を知ってほしいっていう想いがあるから先輩方との交流会もいれてる。あと、普通パイプってそんなに簡単にあるものじゃなくて、東日本の活動って地域の方とも先輩方とも凄くいろいろなパイプがあってそれを大切に先輩方が引き継いでくれているから交流会をするってなった時に地域の方も先輩方も沢山集まってくれるんだよね。先輩方が繋げてきてくれたっていうこと、地域の方々のIVUSAに対する想いっていうのを知ってほしい、経験してほしいっていう想いから交流会を沢山設けさせてもらってます。


―お互いの想い、沢山のパイプがあるからこそ成り立っているということですね。貴重な機会を沢山作っていただいて凄く嬉しかったです。では、これから先の東日本のプロジェクトはどのように活動していってほしいと考えていますか?

例えを出すと悪いんだけど、清掃活動とかは海岸をきれいにするとかゴミ袋何百袋とかゴールが決まってる活動だけど、地域活性化や東日本の活動はゴールが決まってなくて難しいなっていうのは自分も感じてる。だからこれから先の東日本の活動っていうのはそのゴールがなんなのかっていうのを探りながら一緒に活動していってほしいなって思ってます。現地のカウンターパートの住職の言葉でもあるんだけど、10年後20年後にその答えがわかるんじゃないかなって思ってて、今はただ地域の方々の今のニーズに答えてるだけかもしれないけど、災害救援当時に先輩方が現地のニーズに答えてたことが今パイプとなって私たちに返ってきてるみたいに、今私たちのやってることが10年後20年後に山元町の地域のためになってるような活動をしてほしいなって思ってます。


―なるほど、東日本の活動はゴールがない中で模索しながら進めていっているんですね。

そうだね、この質問の答えは難しいけどそれが東日本の活動の課題だなって思ってる。ニュアンス違うけど、ちょうど2022年の夏からこの東日本の活動は第3章として山元町の役場の方、行政と関わることが増えてきて、今年の春も行政と一緒に活動させてもらったのね。だから近年中のゴールとしては山元町と役場とIVUSAが提携して形を残せれば山元町を拠点として活動する意味がわかりやすく示せるからいいなっていう感じです。ただ、地域の方っていうのは絶対に忘れてほしくなくて、行政も山元町の方々だから行政の力をプラスαで取り入れられるような活動にしていってほしいなって思ってます。ただ、さっきも言ったように今答えがでなくても、10年後20年後に山元町のためになっている活動にしていってほしいなと思います。


―明確なゴールが決まっていない分難しいとは思いますが、その分沢山の可能性があると思うのでこれから先の東日本の活動にも注目していきたいですね!本日はお忙しい中ありがとうございました。

ありがとうございました!





一般隊員・東京日野クラブ1年伊波妃華さん


―自己紹介をお願いします。 

東京日野クラブ新2年の伊波妃華(いはひよな)です。 


―東京駒沢クラブ新2年の安藤那穂です。よろしくお願いします! 

よろしくお願いします! 


―今回、東日本のプロジェクトに参加しようと思った理由を教えてください。 

私は今回のこのプロジェクトが初めてのプロジェクト参加でした。初めてのプロジェクトに東日本を選んだのは、被災者ではないけど震災を経験している・覚えている身として沢山あるプロジェクトの中で一番身近に感じられるものが東日本大震災復興支援活動なのかなあっていう風に思って東日本を選びました。 


―参加してみて感じたことはいっぱいあると思いますが、特に印象深かった出来事を教えてください。 

どれも印象に残ることばかりだったけど、一番って言われたらやっぱり3月11日に行われた追悼式が印象に残っています。津波が起こった時間に合わせてアラームが鳴って、それを聞いて、「あ、ほんとにここで震災があったんだな」ってすごく実感しました。冗談とかではなく、ほんとにアラームが鳴った瞬間私すっごく泣いちゃって、そういう風に感じられるっていうのもやっぱり現地だからこそ体験できるものなのかなっていう風に思ったのでそれが一番印象に残っています。 


―うんうん。妃華は自分の家族が津波の被害にあったら、って想像したと活動中も言っていたよね。実際にその瞬間に自分が被災を受けたのではないかって思ってしまう感覚、いわゆる「追体験」をした感じだよね。 


ー次の質問に移ります。この活動で感じたことはたくさんあると思うけど、これからに生かしたいと思ったことを教えてください。 

防災はきちんとやるべき、って思うようになりました。現地の方々と話す機会がすごく沢山あって、話している中でも皆さん結構仰っていたのが「自分たちと同じ思いをしてほしくない」とか「もっとちゃんと防災の知識があったら」とか「油断していなかったらよかった」とか。自分の娘さんを亡くされた方からは、「もっとその現場に危機感があったら娘が助かっていたのかもしれない」って伺いました。やっぱり防災についてちゃんとした知識を持って、それに対してちゃんと備えているっていうことが一番大事かなと思って、それを今後に生かしていきたいなという風に思います。 


―沢山のお話を現地の方から聞けたからこそ得られた考えですね!この活動中で一番苦労したことはありますか。 

さっき、沢山の現地の方にお話を伺ったと言ったけど、直接自分から話を聞くってことが一番苦労したかな。徐々に徐々にお話を聞けるようにはなったけど、最初のうち、震災体験とかセンシティブなことをほんとに聞いていいのかな、って思っちゃって…。この活動4泊5日で5日間あったんですけど、ちゃんと聞けるまでに私は2、3日くらいかかっちゃって。だがら、勇気を出して自分から話を聞きに行くことが1番苦労しました。 


―確かに、めっちゃわかる。ひとりで話をしに行くのも緊張するし、聞いていいのかなって躊躇いの気持ちはやっぱりあるよね。


―最後にもう一個聞きたいことがあって。最終日、最後の班のミーティングをした時、妃華 は「感情とか考えがまとまっていなくて、これからどうしていくか、家に帰ったら気持ちを整理する」って言っていたと思うのだけど、その後なんか考えたり、家族に伝えたりとかってしましたか。 

私は3人の妹と1人の弟がいる5人兄弟で、そのうち3番目から下がほんとに震災を何も経験していなくて、妹たちは東日本大震災のことを何もわからないって状態だったんです。自分の感情を整理する意味も含めて兄弟たちに「お姉ちゃんはねこういうところに行ってね、こういう話をきいてね、こういう震災があってね…。」みたいな話をしたら、小さいなりにもすごく頑張って興味を持って話を聞こうとしてくれて、「津波の動画とかないの?」とか聞いてくれて。当時の津波の様子とかって、YouTubeとかに沢山上がっているじゃないですか。それを見せて、「こんなことがあったんだね」みたいな。大勢の人にバーッと発信できているかって言われたらできてはないけど、自分の身近な人が、東日本大震災のことを知らない状態からは知るっていう風な状態にできました!


―おー!すごい!ちゃんと今回隊のコンセプトでもある「温故知新」の意味に含まれる「この活動で経験したことを伝える人になる」ことができていますね!震災を経験していない妹さん達にも興味を持ってもらえるようになったことがすごいと思います! 


―質問はこれで終わりですが、最後に何か伝えたいことなどありますか? 

新歓が始まっていると思うけど、新規生の方々は夏プロが初めてのプロジェクト参加の機会になると思うんです。そこで夏プロに東日本おすすめですって伝えたいです!(笑)私が参加した理由も東日本大震災身近が身近に感じたから、っていうのを話したと思うんですけど、実際新入生の子たちも私と年も変わらないわけで、一番身近に感じられるかなーって思います。なので、初のプロジェクト参加におすすめです!ということで(笑) 



―ありがとうございます!最後は新規生へのメッセージ、ということで、今回の取材を終えようと思います!ありがとうございました! 

ありがとうございました! 




今回の取材は、「突撃!活動現場deインタビュー」として現地での取材を予定していたのですが、冒頭でも記載した通り活動中に時間が取れず事後取材となっています!ですが事後取材だったことで、活動後のエピソードまで伺うことができてとても満足しています!改めて、お忙しい中取材を引き受けてくださった有沙さん、妃華さん本当にありがとうございました!!編集後記:安藤那穂

インタビュー・編集:渡辺まひろ、安藤那穂