今回のIVUSA TIMESは、3月8日から13日にかけて行われる東日本大震災復興支援活動のプロジェクト・マネージャーを務める龍谷大学4年の森優太さんです。森さんがこれまでの活動で得てきたものとは何だったのでしょうか…?ぜひご覧ください。
― では自己紹介をお願いします。
どこから自己紹介したらいい?大学名から?龍谷大学4年、森優太と申します。
― お願いします。
…自己紹介いる?(笑)。もうちょいフラットにいこう。凄い緊張するやん。
― (笑)。いや~凄いですね、今回マネージャーって。
よく隊員集まったよな(笑)。
― そんなこと言って大丈夫なんですか(笑)。具体的にどんなことするんですか?
作業としては、畑に植物とかハーブとかジャガイモを植えんねん。育ったらそれを売るか現地の人にあげたりして、コミュニティビジネスになればいいなって思っていて。そして、それを活かして復興モデルをつくろうと計画してる。
写真:活動時の様子
― 今の現地の状況はどんな感じなんですか?
見た目の話をすると、山元町は沿岸部やから結構特徴的かな。内陸に行けばわかるんやけど、俺らが活動してる場所には建物なんかなくて、家と寺がポツポツあるみたいな感じ。でも、逆に何もないからこそ畑ができる。最近「松林」っていう木を植え始めたんやけど、防潮堤の代わりに松林が津波のクッションになるねん。
― 瓦礫はまだありますか?
集積場が沿岸部にあるから、そこにはまだあるかな。瓦礫撤去よりも地域開発の方にお金が使われてるし、詳しい話になると…って俺こんな真面目な話したくないんやけど(笑)。
― (笑)。
瓦礫の撤去は、学生の力だけではどうにもできないからなあ。しかも、瓦礫が現地の人にとっては思い入れのある物かもしれないし、もしもそれを俺らが再利用したらそれを見た現地の人は普通にショックを受けるかもしれないやん。復興の定義を何にするかで変わるけど、まだまだかなと。
― 地域開発は進んでいるけど、一方沿岸部ではそういう状況が残っている感じなんですね。では、精神面ではどんなことが問題に?
逆にどう思う?
― うーん。震災は絶対に忘れちゃいけないものだけど、その一方で復興に目を向けなきゃいけないなと思います。奥底にはあるけど、別に日常生活を普通に送っているのかな…。
俺もそうやと思う。ちゃんと聞いたことないけど、そういう気持ちの動きってあんねん。IVUSAの災害救援活動ってハネムーン期と関係していて、現地の人の気持ちの揺れに合わせて活動すんねん。例えばハネムーン期っていって気持ちが高ぶっているときは頑張れんねん。でも頑張ったあとは落ちるから、そこを無理に頑張らぜずに休んでくださいよってIVUSAがお手伝いしにいく。
― 休んでもらうんですか?
そう。その方がいいねん。だから、このまま行こうとするならそれに付いていこうとすんねんな。基本的に気持ちの面では3.11ではみんな泣いてると思うねん。でもまた次の日からは普通の日常に戻るわけやろ。てことは、自分の町、自分の大切なものを守るために生きていかなければいかないわけで。でも結局今はお金がない現状があって。お金がない。仕事がない。人がいない。みんな現実的な話を見てると思うねん、俺は。
― 被災した現地の方と話したことはありますか?
沿岸部の人で家族を助けに行って戻ってきた人とか、その家族が亡くなってた人とか何回か話したことあるよ。その人たちからは、自分の命めっちゃ守れって言われる。誰かを助けたいとかさ、ボランティアやってたらみんな一時の感情で思うと思うねん。でも自分の命守るのが一番だって。話していて凄く勉強になる。
― 東日本の活動の良さのひとつなんでしょうね。活動に行き続けたのはどうしてですか?
平たく言うと、勉強。
― 本当ですか?(笑)。
最初に活動に行ったときに、復興とは何でしょう?っていう話をされて。どうせ答えはないとか、全部が正解ですとか言うならそういうの考えんのだるいと思っててん(笑)。
― 性格悪いなあ。
勉強会で思っていた通りの答えが返ってきてもうええわって思ってんけど、交流会で現地の方と話した時に、復興とかええわって。それより自分の命守れっていう話をされて。その時に、ああそういうことかって思った。災害があって、復興があって、街づくりがあって、防災があって、命守ることがあるって。この流れがね。けどそれは俺たち(被災していない人たち)の時系列やねん。被災した側が一番最初に思うのは、命を守ること。そのために日頃から防災しようと思う。それで、防災するために町つくらなあかんなってなる。町作るためには復興せなあかんなっていう流れ。俺たちとは逆の時系列でいるんやなって思った。その時にこの活動って深いなって思って、行き続けてる。
― たしかに深いですね。そもそもなんでIVUSA自体が行き続けているのかっていうのは?
おそらく出会いと教訓を得たからじゃない?
― 出会いと教訓?
山元町の人との出会い、山元町で得た教訓があるやん?向こうの人たちが望んでいることは「自分の命を守ってくれ」っていうのを学生に教えることだと思うんだよね。それってwin-winの関係じゃない?向こうの人たちは教えたくて、俺たちは現地に行き続けたいんやで?学ばせたい欲と学びたい欲がwin-winなら、それはもう行くしかないやろ。しかも向こうの人たち俺らのことめっちゃ好きやしな(笑)。
― それは嬉しいですね(笑)。では、活動の分野が、災害救援から地域活性化になったのはなぜなんですか?
災害災害って言い続けるのもよくないし、正直地域活性化っていうのも違うと思うねん。でもIVUSAの中ではジャンル分けしたらそうなるんよね。だから普通の地域活性化だけじゃだめかなって思う。要は復興モデル作らなきゃ意味ないよなって。やからIVUSAは行き続けた方がいいかなって思ってる。そんなとこ。もう聞きたいことないやろ。
写真:活動時の森さん
― 東日本の話はこれで大丈夫かな…と。
もうほんまにこの後の話なんもやってないって。
― じゃあ広報部長としてお聞きしたいのですが。
もういいって。
― 作業的な話じゃなくて、広報が今後どういう風になったらいいと思いますか?
難しいな。うーん、今年結構新しいことはやったよ。防災キャンペーンとか参議院選挙とかさ。今年始めたから、来年からは今年したことは活かして幅を利かすか、深堀するかのどっちかだと思うよ。結局世の中ってSNS主流やん。その活かし方は今年IVUSAの課題でもあったけど、ウェブに載せるものの質の向上に力を入れるべきだと思う。俺は卒業するからやらないけど(笑)。広報部は基本的に成果が見えにくいのが大変やな。だってさ、一発で全部成果見えるタイプじゃないやん、あういうのって。継続性が大事。それくらい。他困ったことはないわ(笑)。
― じゃあ、最後の質問行きますか。あなたにとってIVUSAとは。
それね!めっちゃ考えててん!「生産的な暇つぶし」は?
― まだないですね。じゃあ理由を。
有意義に時間をつぶせるから。どう?理由っぽくない?
― 理由っぽいです(笑)。
いろいろ生産できるやん。自分の将来の見積もりもできるし、いろんな情報も入ってくるし、コネクションもできちゃうからさ。そういう点でも暇つぶしできる。それを人に話す事でも。やっぱ生産的やなっていう。
― 森さんらしい回答ですね(笑)。今日はありがとうございました。
カメラ・編集:杉山佑希(日本大学4年)
インタビュー:長谷川千尋(日本大学2年)