IVUSA TIMES

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第128回「ワクワクとキラキラの宝庫」土家千夏さん

第128回IVUSATIMESは、東京市ヶ谷クラブ4年の土家千夏さんにインタビューをしました。カンボジア教育支援活動の年間チームに所属し、今期はIVUSA幹部役員としても活躍してきた千夏さん。カンボジアでの活動を通して感じたIVUSAの魅力や、幹部としてIVUSA全体を見てきたことで感じた大切にしたいことなど、幅広い活躍が生んだ色々な思いをお話しして頂きました。ぜひ最後までお楽しみください!

今回のメニューは、

の4本です。お楽しみに!


—最初に自己紹介をお願いします!

東京市ヶ谷クラブ4年の土家千夏です!よろしくお願いします。


—本日はよろしくお願いします!


1. 小学校を建設するために

—とあるブログで、カンボジアの小学校建設が前の年は資金が足りずスタディーツアーに変更したという記事を拝見しました。小学校建設の資金集めはどのような方法でおこなったのですか?

資金集めは色々あるけど、街頭募金が一番多いかな。実際に学生が駅で募金箱を持って、カンボジアの現状を話して、募金の協力をお願いするのね。だけど街頭募金だけで全額集めるのは無理があって、現地の土地状況も違うから、2020年に建てた村の小学校も街頭募金で全額払えたわけではないの。すみジャズって知ってるかな?


—詳しく教えていただきたいです!

すみだストリートジャズフェスティバルの略で、簡単に言うと市民ボランティアが運営する街おこしのためのチャリティーイベントなのね。そこにIVUSAのカンボジア隊で一団体としてテナントを出させていただいて、活動の宣伝や資金集めを行うこともあったんだ。


—そこでの資金集めというのは、具体的にはどういった形でおこなったのですか?

テナントを出すにあたって、株式会社poolさんが、同社で扱っているフェイスペイントをそこで販売することに応諾してくださり、その売上げから資金を抽出する形でおこなったのね。もともとJEVAという日本イベント協会の報告会に参加したときにすみジャズの運営者さんと知り合ったところからつながっているので、自分たちの活動の幅を広げていくことって何か新しいきっかけを生むんだなって思ったんだよね。


—報告会に参加することで資金を集めるための新たな手段を得られたことから、人とつながることの重要性を改めて感じさせますね。他にも資金を集めるためにおこなったことなどはありますか?

私たちがおこなったという話からは少し外れるけど、費用の何割かはIVUSAとつながりのある藤原さんが出して下さったのね。国際協力にとても積極的な方で、一度に多額の寄付を頂いたこともあったの。こうした方の存在はとても大きいし、ありがたく思います。


—確かにブログにも藤原さんのことが書かれていました。そうしてIVUSAと繋がりのある方々からの支援があってカンボジアの活動が成り立っているんですね!藤原さんについて、もう少し詳しくお話をお伺いしたいです!

藤原さんは西伊豆の活動*1にも関わって下さっている方なのね。西伊豆の担当事務局である高井さんという方がもともとカンボジアの担当事務局でもあって、藤原さんは西伊豆の活動でその高井さんとお話しする中でカンボジアに興味をもって下さるようになったの。それがきっかけでカンボジアの活動に支援してくださるようになったのね。あとは実際にカンボジアに行った先輩方からの寄付を頂くこともあって、本当に人のつながりって大きいって思ったかな。


—事務局の方同士の偶然も今の活動につながっているのはとても興味深いですね!IVUSAの活動が学生だけで成り立っているわけではないことを改めて実感しました。では、小学校の建設についてもう少し詳しくお聞きしたいのですが、建設にあたって現地には何日間行くのですか?

プロジェクトとして現地に行くのは10日間くらいだったかな。当時の建設予定の村が空港から遠い場所にあってバスの長距離移動もあったから、中5日間くらいがその村でのホームステイで、その間に学校建設をしたのね。だから学校建設を10日間するわけではないんだ。


—建設はその数日間で完了させるんですか?

私が参加した活動の時はすでに足場が組まれていたけど、その時建設費用がまだ集まってなかったんだよ。だから2カ年計画に変更して、途中目標としてセメントをこねてレンガを積む作業をしたのね。それで次のプロジェクトでカンボジアに行った時に残りの費用で壁を塗装するはずだったの。


—するはずだったというのは、現在の新型コロナウイルスの影響で出来なかったということですか?

そうそう。私たちの手で完成させたいって思いはあったけど、何年もレンガを積んだままの状態にすると倒壊する可能性もあって危ないから、残りの費用だけ送って現地の大工さんに完成までお願いしたのね。今は完成して子どもたちに使ってもらっている。自分たちは最後まで関われなかったからこそ、コロナが落ち着いて後輩たちが現地に行くことができたら、今度はIVUSA学生の手で完成するところまで携わることができたらいいなって願っています。


国内ステイツアーとなった2022年春のカンボジア活動


2. カンボジアでの活動

—次に、千夏さんがカンボジアに関わるようになったきっかけは何ですか?

きっかけはただ一つで、一番尊敬している2個上の当時市ヶ谷のクラブマネージャーだった先輩がカンボジア隊のプロジェクトマネージャーだったことかな。実際行くまではそこまで興味はなかったんだけど、私が二年の時にその先輩からかけられた「俺プロマネするから来いよ!」という言葉だけで行くって決めたんだよね。それで期間も費用も知らないまますぐエントリーしたのね。それくらい追いかけていた先輩だったし、その人が作る活動や景色を私も見たい!という一心だったんだ。


—実際にどういったところを尊敬していたんですか?

とにかく人への魅せ方がかっこよかったんだよね。いつもは超お気楽な感じなのに、みんなの前ではただ言葉だけでなく態度とか雰囲気で伝えて、周りがそれを受け取りやすいようにしていたのね。そういった人への伝え方がかっこよかったし、ファンも多かったの(笑)。


—ギャップのかっこよさですね(笑)。

そうそう(笑)。実は私、一年生の時に一度プロジェクトに参加した後に、クラブでの環境とか多忙さからIVUSAをやめたことがあったのね。だけど二年生の5月頃にいきなり連絡をくださって、偶然私の大学に来ていたから会うことができたの。そこで「戻っておいでよ!」って声をかけてくださったからIVUSAに戻ることができたのね。当時の市ヶ谷クラブは150人規模で一年生のうちにやめる人も多かった中で、その一人の私の名前も大学も覚えてくださっていたことに感激したんだよね。一人ひとり向き合う姿に人の温かさが感じられるような先輩だから、ずっと憧れです。


憧れの先輩、橋本さんと


—幹部役員までされている千夏さんが一度IVUSAをやめていたことに驚きました。その先輩がきっかけで行ったカンボジアの活動で一番印象に残っていることはありますか?

あります!活動を通して、今ある活動が想いや約束の連鎖でつながっていることを実感したんだよね。実際のところ学校建設の作業中も失敗とかやり直しが多くて、素人の大学生が実際に学校建設をするよりも、建設費用を出して現地の大工さんに頼んだ方が効率良いんじゃないかって葛藤が生まれたのね。しかも向こうの子どもの親御さんからしたら、そんな学校に子どもを通わせることも不安だろうし。


—確かに素人である学生が建てた学校だとどうしても信頼性が違ってきますね。

そう、それでホームステイ先の親御さんに聞いてみたの。そうしたら「日本人は嘘つかないから、信頼しているから不安なんて全然ないよ」って言ってくれたのね。理由を聞いたら「あなたたちは昨年この村で小学校を建てる約束をして今それを果たしてくれているから」って。


建設活動を終えて、現地の子どもとお別れ


—約束があったのですね。

実際に約束を交わした学生はもう卒業して建設には行けなかったけど、その学校を届けたいという先輩の想いが私たちに引き継がれていて、現地の方はIVUSAの約束としてその想いを覚えていて受け取ってくれる。こうして想いと約束の連鎖でつながっていることを強く実感したのね。これはカンボジア隊に限らずほかの活動でもつながりがあって、それがIVUSAの魅力だと思う。


—たしかに今の話を聞いて、改めてIVUSAの活動ができるのも色々なつながりがあるおかげだと感じました。

IVUSAや先輩の想いがずっと引き継がれて、実際に現地の方と関わることでその想いから信頼が生まれて、カンボジアという一つの国から日本人のイメージを作っていることを強く感じたんだよね。それが私にとっての一番の原動力になっているし、印象に残っているかな。


3. 幹部役員を通して

—次に幹部役員についてお聞きします。幹部役員には様々な役職があると思うのですが、千夏さんはどんなところで携わられているのですか?

私はスタッフサポートというところで主にクラブをサポートしているのね。ただ私が直接的に関わるというよりは、幹部の下の本部員を通してクラブの実情を知っているかたちになるかな。


—なるほど。クラブのサポートをしていく中で大事にしていることや心掛けていることはありますか?

月に一度その本部員とクラブマネージャーで面談の機会を設けて現状の共有や運営における助言をするんだけど、私としては本部員に何でも言える場になればいいかなって。クラブマネージャーって良くも悪くも孤独になるから、それを経験している私や他の先輩から助言をもらったり不満を吐き出したりできる機会があるのは大きいと思うんだよね。業務を任せ任される関係よりは仲良くなって色々な思いを共有できる窓口にして欲しいと思ってやっている感じかな。。


—クラブマネージャーも、みんなの頼れる存在である一方一人で抱える不安もあって、そこをサポートできる場所があるのはいいですね。幹部役員になって何か学んだことや気づかなかった視点などはありますか?

やっぱり楽しもうとする気持ちを忘れちゃだめだなっていうのを実感したかな。運営側にいるとどうしても業務に追われるから、楽しいって気持ちが薄れていったのね。でもトップが楽しくやらないと全体のワクワク感も下がるから、IVUSA全体で「楽しい」を共有するには自分たちの想いが大事になるなって思った。


29期幹部みんなで


—自分たちの想いですか。それは具体的にはどのような時に強く感じたのですか?

それまでの選挙制度を見直したときに業務上の癒着関係だとか不適切なシステムがあって、自分もそれが嫌だったんだけど、それ以上に同じことを後輩に思わせたくないなって強く感じたのね。自分の考えだけあって上手く実行に移すのは難しいけど、誰かのためになると思えば自分のやることに楽しさを見いだせるようになって、自分が今ここにいる価値を感じることができたんだよね。楽しもうという気持ちは自分の原動力として大事なことだなって。


—後輩のためを思うだけでなく、そこに自分たちの想いを重ねることで生まれる新たな価値を楽しむこと。幹部役員として引っ張っていく側としての千夏さんの前向きな気持ちが伝わってきました。土家さんも出ていらっしゃるNEWS29を拝見したのですが、改めてどういったものか説明していただきたいです!

私たち29期でIVUSAからのお知らせを伝えたり、面白い情報を発信したりすることで、IVUSA学生みんなにもっとIVUSAを楽しんでもらいたいという気持ちで始めた! 動画なんだけど、ニュース形式にしてなるべくわかりやすく、そして楽しくお届けできたらなと考えてやっていたかな。


—千夏さん自身も色々な役に仮装してなりきっていらっしゃったと思うのですが、これも楽しもうという気持ちがあったのですか?

何がきっかけで始めたかは覚えてないけど、ニュースを普段から読む人より、多くの読まない人の層へのアプローチを考えたときに、面白そうとか楽しそうと思わせるのが第一歩だと思ったんだよね。とにかくふざけた要素を取り入れて真面目な情報を伝えようとする方が効果的かなって(笑)。


—真面目な内容を楽しく伝える工夫はとても良いですね!



4. 自分を大切にするということ

—あと3か月くらいで卒業を迎えられると思うのですが、IVUSAの学生に何か伝えておきたいことはありますか?

あります!IVUSA学生にはとにかく自分を大切にしてほしい。私ね、二年生の時の選挙で、自分の想いを体現させるために「I love myself」って言葉を作ったの。とにかく人のために何かする前に自分自身を大事にして欲しいって思っているのね。ボランティアって人のためにあるものだけど、一番身近な自分という人間を大事にできている人は実は多くないと思うんだよ。何か苦しみや犠牲を背負っている部分があって、そのうえで人のために動こうとする人が多いと思うの。


—たしかに普段自分に対して意識する機会は少ないです。

だからまず自分を大事にして、好きになって、認めてあげること。それからまわりの人のために動くことができて、その輪を広げることができると思っているのね。ボランティア活動をするということは、必然的に様々な交流を通じて色々な人と関わることでもある。もちろん自分という視点から遠く離れた人ともつながるチャンスもたくさんあるんだよね。自分を好きになることができていれば、それ以上に他の人とのつながりも無駄にならないと思うの。


—そのほうが一人ひとりのつながりもより深いものになりそうですね。

だからIVUSA学生にはとにかく自分を大切にして欲しい。「myself」の意味にある「自分らしさ」を武器にして欲しい。もちろん過去や先輩から学ぶことも大切だけど、同じようにしようとすると自分である必要が無くなると思うの。自分のやることに自分であるからこその価値を見いだせるように、「I love myself」の精神を持ってほしいと思う。


—ありがとうございます。自分にしかできないことを自分らしくやるということですね。最後に千夏さんにとってIVUSAとは何ですか?

私にとってIVUSAは「ワクワクしてキラキラできる場所」です。IVUSAは自分から動けば色々なことに挑戦できてワクワクできる場だし、挑戦している姿は一番キラキラしていると思う。一旦IVUSAをやめた期間はただ楽しいだけで何も得られるものはなかったけど、IVUSAに戻ってからはとにかく忙しくて時間もお金も無くなっていく。でもその当時お母さんに毎日「私の人生キラキラしてる!」って言っていて、それはそれだけ自分がワクワクしていたからだなって気づいたのね。IVUSAはワクワクとキラキラの宝庫だと思います!


—IVUSA学生のみんながワクワクとキラキラにあふれた挑戦をできるといいですね!ありがとうございました!


TIMESに入って初めて記事の編集をさせて頂きました。この編集期間は春プロと重なってカンボジア隊に参加していたので、TIMESでも春プロでも千夏さんにお世話になったことになります(笑)。初回で千夏さんを担当させて頂けたことを誇りに思い、これからも「I love myself」の気持ちで頑張っていきます!編集後記:古﨑駿也(國學院大學1年)

インタビュー:竹内栞(群馬県立女子大学3年)伊藤さき(國學院大學3年)

*1:静岡県西伊豆町活性化活動