IVUSA TIMES

日本最大級のボランティア学生団体IVUSAの素顔が読めるWEBマガジン

第70回「学び続ける場所」 本咲若菜さん

第70回目のIVUSATIMESは、京都深草クラブ龍谷大学4年の本咲若菜さんです。IVUSA会員の多くが受講しているCMT(危機対応講習 CMT=Crisis Management Training)のインストラクターを務められている本咲さん。どのようなきっかけでインストラクターになったのでしょうか?ぜひご覧ください。


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─自己紹介をお願いします

 龍谷大学4年の本咲若菜です。よろしくお願いします。


─IVUSAに入ったきっかけを教えてください。

 IVUSAに入ろうと思ったきっかけは私が中学卒業する時に東日本大震災があって、高校に入ってから「なにかしたいなぁ」っていう想いがずっとありました。そのときの自分は部活が忙しかったりもして募金しか出来なかったけど、大学に入ったときにIVUSAの先輩に勧誘されて「ボランティアやってみよう」と思って入りました。


─なぜCMTのインストラクターになろうと思ったんですか?

 もともと「インストラクターの人かっこいいな~」っていう憧れはあったんですけど、なろうって思ったきっかけは、1年生の時に父親が突然倒れて亡くなってしまったことです。父を見つけてくださった方が心肺蘇生をしてくださっていたんですけど、亡くなってしまって。それはすごく悲しくて、まさかって思っていることがほんまにあるんやなってすごい思った。
 もしこれからも自分の大事な人が目の前で倒れてしまった時に、「まさかと思っていました、だから何もできません」ってそんな悲しいことないと思いますし、皆にも同じような想いをしてほしくないなって思いました。だから、インストラクターっていう立場を活かして自分も色々学びながら、皆に伝えていきたいなって思ってインストラクターを目指しました。


-研修をするにあたって、何を大切にしていますか?また何が大変ですか?

 インストラクターって危機対応や応急救命の知識は持っていて当たり前で、プラスでそれを人に伝える立場です。だから、どういう風に伝えたら分かりやすく伝わるんだろうかってこと、時間内にどれだけ良い内容を講習できるかを考えます。
受講している人は、その時間の中でもずっと集中して聞くのってしんどいと思います。だから、しっかり聞いてほしいところとちょっと力抜けるところのメリハリを作ったり…。何せ気をつけることが多いです(笑)。たった数時間、短い時間の中でそれだけ重みのあることを伝えるのは難しいなって思います。
 CMTのインストラクターってIVUSAの伝道師って言われていて、IVUSAが始まってからずっと大事にしてきたリスクマネジメントっていう考え方を伝えていく立場です。だから、IVUSAの先輩として、研修のときだけに限らず常に後輩からお手本にされる存在であるべきだと思っています。


-インストラクターをやっていて良かったなって思った時を教えてください

 さっき話したように、受講生に伝えるためにはまず自分が知識やスキルを持っておく必要があるから、自分自身すごく勉強になります。それに、試行錯誤しながら講習する中で、受講生に伝わったなって思えた時はめっちゃ嬉しいです。
 例えば春合宿に行う研修は、IVUSAに入ったばっかりの人が多くて最初はだるそうに受けている人もいるんですけど、そんな人が最後すごくいい顔で「ありがとうございました」って言ってくれるとうれしいです。
 あとは、関西だけでも1000人、2000人といる会員に研修を行っているから、顔覚えてもらえます。会うたび「CMTの人ですよね!」って言われて有名人になった気分を味わえる(笑)。


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写真:研修時の様子


—この間の春合宿ではインストラクターの方が活躍されていましたが、インストラクターにとって春合宿は大きいイベントですか?

 そうですね。特に三年生やったらインストラクターになったばかりなので、実際にやってみて出来てないところを改めて認識できる機会になるし、春合宿からスタートしていく感じかな。


―自分も一年生の時に春合宿行ったんですけど、一年生側からしたらすごいなって思いましたが、インストラクターになったばかりの三年生は四年生側から見たらまだまだだと思う所はあるんですか?

 それは去年間違いなく思われていたと思う(笑)。やっぱり一発目で完璧にできる人はいないと思うし、いっぱいアドバイスもらって、どんどん良くしていくものやと思うから。かっこ良く見えていたかもしれんけど、先輩もドキドキしていたと思う(笑)


―救命救護では流血している人を手当てすることもあると思いますが、若菜さんは、血は苦手ですか?

 苦手です。実際にそういう大きなけがをされている方に出会ったことはないですけど、医療ドラマとかで手袋についている偽物の血でも嫌です(笑)。


-若菜さんがもしそういう現場に出くわしたらどうしますか?

 そんな現場に出くわしたことがないから、どうなるか分からないけど、自分の怖いと思う気持ちとその人の命を比べたら絶対命の方が大事なので、そんな気持ちは捨てて助けると思います。
 実際にそういう場面に出くわした時に、周囲の状況確認など、CMT研修でやったことを完璧にできるかって言われたら私も自信ないですし、動揺はすると思います。自分が助けることで余計なことしちゃうとか思う人もいると思うけど、何か行動するのとしないのとでは何か行動起こした方が助かる望みはあると思う。だから、まずは「大丈夫ですか?」って声を掛けることが大事なんかなぁって思います。自分がその一歩を踏み出したらそこに手を貸してくれる人はいると思います。だからそう信じて行動するしかないかな。


-今のマイブームは何でしょうか?

 マイブームは、お酒を飲むこととカラオケです。お酒は強い訳ではありませんが、お酒大好きです。酔うと、眠くなるのといい気分になって声がでかくなります(笑)。
 カラオケだったら割と幅広く歌うけど、自分が生まれた頃のちょっと懐かしめの歌とか、渋めの歌を歌いますね。例えば山口百恵とか。だから流行の歌は全然分からないです。


-将来の夢はなんですか?

 夢って言うか分からんけど、親孝行です。散々好きなことをさせてもらって育ててもらったから、返しきれないと思うけど恩返ししたいです。


-IVUSAをやっていて、「これは就活に使える!」と思ったものはありますか?

 IVUSAに入らずに普通に学生生活送っていたら、絶対経験できへんかったことを経験するやん。学生の時に取り組んだこと、それをやった中で身についた能力は、すごくアピールできるし社会に出ても役立つんやろなっていうのは思います。


―次はIVUSAのプロジェクトについてお聞きしたいと思うのですが、プロジェクトは今まで何に行かれましたか?

色々行ったけど、ずっと行っているのは東日本大震災復興支援活動かな。


―何回も東日本大震災復興支援活動に行っている理由はありますか?

 初めて行ったプロジェクトが東日本大震災復興支援活動やって、すごい勉強になったし、ボランティアをしに行っている立場やけど、現地の人から当時の悲しさや苦しさを聞いて、自分に何ができるのか考える機会になりましたし、それは行くたびに変わっていって、答えがないし難しいけど、だからこそ考え続けていく必要があると思う。また夏春と行きたいなと思っています。



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写真:活動時の様子


―インストラクターとしてやっている時と、プロジェクトに行っている時では、気持ちの持ちようは違ったりしますか?

 やっぱり違います。自分の中でインストラクターの存在がすごく大きくて、クラブの中でもインストラクターってだけで、そういう面で頼りにされることもありますね。活動の中でも、何かあった時にとか、勉強会でリスクワーク(プロジェクト活動時においてのリスクに上手く対処する方法を学ぶワーク)をやる時とかにもインストラクターとして立たせてもらう場面もあるので、どこに行ってもイントラとしての自分っていうのはいるかな。


—若菜さんが一年生からこれまでIVUSAで活動してきた中で、インストラクターになった3年生の1年間が一番濃かったですか?


 そうですね。インストラクターになるのは新しい挑戦だったので、なってできることも広がりましたし、学ぶことも多かったので、本当にやって良かったなって思っています。これからも頑張りたいと思います。


—それでは最後の質問にいきたいと思います。あなたにとってIVUSAとは何でしょうか?

 「学び続ける場所」かなと思います。最初の方にも学ぶことが多いって話はしましたが、本当にインストラクターになることがゴールではなくて、むしろインストラクターになってからがスタートで、講習していく中で、講習生と一緒に学んでいるっていう。
それはこれからも変わらないと思いますし、もっともっといろいろ吸収していきたいなと思います。


—若菜さんがインストラクターとして様々なことを得ていることが素敵だなと思いました。今日はありがとうございました!


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インタビュー・編集:二ツ矢裕悠(関西大学2年)
カメラ:池田一輝(近畿大学3年)


〜編集後記〜
僕自身初めてのインタビューで緊張しっぱなしでした汗
イントラとして講習されている顔とはまた違った、ほんわかとした表情を見ることができました。(二ツ矢)